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絶望の警察官へ

最終更新時間:2014年11月17日 11時02分39秒

絶望の警察官へ

今日、2012年7月に静岡地方裁判所に提訴した現職警察官を原告とする慰謝料請求裁判(提訴後、退職)が結審になり、事務所に戻ってきてインターネットをみていたら、「福島県警捜査2課警官また自殺」の記事(河北新報ONLINE NEWS(2014.11.14))が目に入った。

福島県警捜査2課の40代の男性警部補が12日夕、南相馬市鹿島区上栃窪の林道近くの山中で、首をつって遺体で見つかった。県警は遺書が残されていたことから、自殺とみている。≫≪捜査2課では4月下旬にも、幹部2人が上司のパワーハラスメントなどが原因で自殺しており、ことしに入って3人目。≫

またか。

静岡地裁に提訴している事件の原告も、わたしに相談するまでは幾度も自殺を考えたことがあるという。現に、わたしの事務所に現職警察官の立場で相談にくるようになったころは、顔面蒼白で目がうつろ。自殺するかもしれないという雰囲気があった。県警本部が追い詰められるようになるまでは、将来を期待されていた優秀な警察官だったとはとても思えないみじめな姿だ。

自殺しようと思い詰めた原因は、県警本部の組織を挙げての辞職強要だった。発端は職場内で発生した若い警察官と後輩の女性警察官の個人的なトラブル。それは発生直後に当事者間で解決していた。しかし、数ヶ月後にそのトラブルを知った県警本部が「犯罪だ」と大騒ぎし、若い警察官を脅しや嘘の連続で精神的に追い詰め、うつ病になっても辞職に追い込もうとし続けた。これを不法行為として訴えていた。

 この事案では、職場で最も信頼し尊敬していた上司は若い警察官の相談に乗ってくれるどころか、県警本部を焚きつけた張本人。若い警察官を追い詰める最先端にいた。 親しい友人の警察官たちも、「自分も巻き込まれたらたいへん」とばかりに、若い警察官には近づかない。警察組織内に自分を理解し支えてくれる警察官はゼロ。

 そんな警察官の代理人として裁判をして来た弁護士として、福島県警の警察官の自殺はよそ事とは思えなかった。

 河北新報の記事によると、≪捜査2課では10月、捜査員が机の中に保管していた捜査費計5万円がなくなり、福島署に被害届を出した。昨年秋〜今年9月、捜査費計約5万円がなくなっていたことも判明。県警が捜査2課の捜査員から順次事情を聴いていた。≫

 警察署内で捜査費が盗まれた?・・・! 福島県警としては、警察の威信をかけて犯人を捕まえなければと思ったにちがいない。そして、事件の現場近くに机のある警察官たちを対象に厳しい事情聴取をしたにちがいない。

記事では、≪刑事総務課の椎根正之課長は「警部補に容疑をうかがわせるような点はなかった」と説明した。≫とあるが、はたしてそうだったか。

記事では、≪車内に警部補のバッグがあり、バインダーの中からノート1枚に手書きした遺書が見つかった。妻宛てに「泥棒はしていない。信じてほしい」、上司宛てには「信頼を裏切り、申し訳ありません」などとつづっていた。≫とある。

妻宛の遺書によると、犯人でもないのに厳しい追及を受けていたように読める。しかし、上司宛ての遺書の内容は、これだけだと、犯人であるような、ないような、になっている。

記事では、≪警務課の久野浩課長は「断定はできないが、4月の自殺との関連はないと思う。原因を検証し、人事管理を徹底したい」と話した。≫とある。

当たり前のようなコメント。しかし、「原因を検証し、人事管理を徹底したい」が、これまでの調査方法の反省を含んでいないのだとすれば、今後、さらに自殺者が出るかもしれない。

 静岡県警の元警察官は、提訴後もしばらく孤立無援の状態で働き続けたが、性も根も尽き果て辞職し、いまは割と元気を回復して民間で働いている。今日、裁判所に提出した最終準備書面の末尾の「まとめ」に、「特に最後のまとめ部分を読んで、あらためて先生方にお願いして良かったと思いました。」というメールが届いた。 判決がどうなるかはわからないが、依頼者のためにいい仕事ができてよかった。

 警察官は「弁護士は警察の敵だ」と教えられているので、いくら辛くても弁護士に相談するという選択肢を持たない。そのため、警察の職場以外の場に、なんでも話して、ベストの解決策を一緒に考えてくれる人がいない。 自殺に踏み切る前に、警察組織から「警察の敵だ」と教え込まれてきた弁護士に相談してみてほしい。少なくとも、自殺以外の解決策を提案することはできる。

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