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警察官のけん銃使用に問題はないか

最終更新時間:2006年09月19日 15時09分33秒

警察官のけん銃使用に問題はないか

(H18.9.16全国市民オンブズマン福岡大会 警察ネット原田宏二) 

 <警官発砲事件すでに17件、昨年の1年分を越える>

 今年に入って警察官がけん銃を使用(発砲)した事件は、8月14日に起きた岐阜県各務原市の事件を含め計17件に上り、既に昨年1年間に起きた16件を超えている。警察庁は、発砲が相次ぐ背景には、容疑者が抵抗する公務執行妨害事件の増加があると分析している。同事件の認知件数は、04年は2685件、昨年は2902件。(毎日新聞から) 人命に直結する警察官のけん銃使用に何の問題もないのか。

 <01年「警察官けん銃警棒等使用および取扱い規範(国家公安委員会規則)」の改正>

 警察官の武器使用の法的根拠は警職法7条。具体的な使用の判断基準を示したのがこの規範。警察庁の説明によると、「改正前の規範は、警棒の使用を優先させ『必要最小限度でけん銃を構えまたは撃つことができる』など抽象的な表現だったため、事件現場で警察官が過度に使用をためらう要因になっていた。改正規範は、拳銃と警棒と分けて規定し、けん銃の使用を(1)取出し(2)構え(3)威嚇射撃(4)相手に向けて撃つ、の4段階に分け、それぞれの判断基準と留意事項を明らかにした」としている。

 <付審判請求〜19年3ヶ月かかり最高裁有罪確定>

79年10月広島県尾道市に住むHさんの長男Tさん(24)が警察官に射殺された。広島県警は「男は刃物を振りかざし、棒で殴りかかるなど不当であり、警察官の発砲は正当防衛である」とけん銃の使用は正当とした。Hさんは、納得できず11月、警察官と現場に同行した警察官を特別公務員暴行陵虐、同致死などで地検に告訴するも不起訴処分となり、地裁に付審判請求を申し立てた。そのうち1人の警察官を被告とした付審判では、1審で無罪、2審で逆転有罪、99年2月最高裁が上告を棄却。2審は、2人の警察官の供述と目撃者の供述を詳細に検討、公務執行妨害の成立や警察官の供述は疑問と判断した。

 <警察官のけん銃使用に潜む問題>

? 警察は、けん銃の使用事案があると、間髪をいれず「適正、妥当な使用」と発表する。警察官のけん銃使用は、事実上の野放し状態、真実はヤミのなか。「死人に口なし」、「犯罪者に人権なし」〜警察・検察に公正な捜査を期待できるか。? 年1回程度の射撃訓練。現場の警察官のけん銃操作の習熟度は低く、荒れた現場で冷静な判断を期待できない。そうした中で、使用基準の緩和が行われた。改正により「警棒」が有効に使われなくなった傾向もあるのではないか。使用事例でも「けん銃対けん銃」のケースはない。今後も過剰な使用、一般市民への危害が予想される。? 公務執行妨害事件が増加している背景には、警職法2条(職務質問・同行)の拡大運用がある。連行、答弁の強要、持ち物検査をやれるのが優秀な警察官の評価がある。? 犯罪の凶悪化、治安の悪化を理由に、Nシステムをはじめ、けん銃の使用、職務質問など、国民の気がつかないところで、警察権力が強化されている。国民の監視が必要だ。

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