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「警察パワハラ/根絶に向け毅然たる姿勢を」に?

最終更新時間:2014年07月13日 17時34分05秒

「警察パワハラ/根絶に向け毅然たる姿勢を」に?

2014年7月11日の河北新報の社説。警察官のパワハラ自殺について書いている。警察官は地方公務員の中で最も辞職が多い。だから、年がら年中、採用募集をしているし、若い警察官にリクルーターまでやらせている。これもノルマ。辞職しなければ、確実に自殺者数は遙かに多くなる。警察はそういう職場だ。

宮城県警佐沼署の32歳男性巡査長が「上司からパワーハラスメントを受けていた」という趣旨のメモを残して自殺した。現時点で確定的な物言いは控えなければならないが、警察組織の中でパワハラを訴えて自殺者が出た事実は軽くない。≫

軽くないのは当たり前だが、社説で問題提起するくらいなら、どのようなパワハラがあったのか、なぜそのようなパワハラが行われていたのか、どうして誰も止めなかったのか、と考えて欲しい。

≪東北では、福島県警捜査2課の52歳男性警視と51歳男性警部が4月に相次いで自殺し、パワハラが背景にあったとして上司の課長が6月末に処分され、更迭されたばかりだ。≫

やはり、パワハラの内容も背景もわからない。

≪2月には秋田県警の交通部長が、長期間日常的に部下にパワハラを繰り返していたとして処分され、依願退職した。この部長が一線署の副署長だった時代にパワハラを受けていた部下の48歳男性警部が自殺していたことも、後に明らかになった。≫

交通部長のパワハラは警察組織内で野放しになっていた。それができる組織の実情がある。

≪警察で自殺者が相次ぎ、背景としてパワハラが指摘される事態は、組織としての欠陥を考えないわけにはいかない。警察庁や各県警は単発の出来事と片付けず、異常事態として徹底的に背景を洗い出し、対策と体質改善に取り組む必要がある。≫

警察庁や各県警は「単発の出来事」ではないことを知っている。しかし、「単発の出来事」として片付ける。だから、「単発の出来事と片付けず」と言ってみたところで、意味がない。「異常事態として」徹底的に背景を洗い出し、という位置づけも間違っている。いつどこで自殺者が出てもおかしくない事態は日常化している。それは、当然、組織の体質に根ざしている。だから、体質改善はできない。

≪階級社会の典型である警察組織では、職務上の地位や優位性がはっきりしている分、それが決裁などの場面で圧力として行使される機会は他の職場よりも多くなりがちだ。パワハラが起きやすい職場と言える。≫

「職務上の地位や優位性がはっきりしている」ことがそもそもの原因で、「それが決裁などの場面で圧力として行使される機会は他の職場よりも多くなりがちだ」ということで、パワハラが起きやすくなる?そうだろうか。

パワハラの定義にもよるが、パワハラはどこの職場にもある。パワハラが起こりやすいかどうかは問題ではない。どういう背景のパワハラなのか。パワハラが起きたときの周囲の反応はどうかが問題なのだ。警察の場合、仕事が基本的にノルマ化している。国家公安委員会警察庁が基本方針にしている以上、ノルマを果たせない者は組織において低く評価され、排除されるべき存在になるのは当たり前だ。だから、警察組織の中では、ごくごく稀な場合を除いて、決してだれも助けてくれない。それどころか、だれもがパワハラ上司と一緒になって笑う。

福島県警のケースでは、警察庁採用の課長が自殺した警部らが決裁を求めに来ると、他の職員がいる前で「小学生みたいな文章を書くな」「国語を習ったのか」などとののしり続けた。担当業務が多忙になり、自殺した月の超過勤務が142時間に達するなど他の要因もあったとされるが、あらがいようのない地位の差を背景に人格否定を繰り返されてはたまらない。警部の自殺を救えなかったとして後を追った警視も含めて、その無念さは計り知れない。≫

警察庁採用の課長が罵るのをみていて、だれも、陰でも、罵られている側の警察官に味方してくれなかった。警視は、警察組織にはめずらしい、生真面目な責任感の強い優しい人だったのだろう。しかし、だれも彼を支えようとしなかった。生真面目な警視にとっても職場は自分の生きる場所ではなくなってしまった。

≪2人の自殺という特異な展開になったことで陰湿なパワハラの実態が明るみに出たが、自殺が1人だったり、それまで至らなかったりする事例は、組織内でうやむやになりやすい。≫

自殺者が幾人出ようとも、警察組織は自殺の原因をうやむやにしたい。

秋田県警のケースでは、過去に自殺者がいたことは長く公表されていなかった。不祥事を隠す警察組織の悪弊が問題視されている。隠蔽(いんぺい)体質の組織ではパワハラの根絶は望むべくもない。宮城県警の調査も根絶やしに向けて公表前提の徹底解明が求められる。≫

「求められる」けど、できるのか。だれがやるのか。

≪パワハラ予防には、トップの強い意志、アンケートなどによる実態把握、教育と啓発、相談窓口の設置と充実などが必要とされる。今の警察組織でそれらの対策が十分かどうか、すぐに見直しを進めてほしい。≫

「トップ」って、だれ?トップ個人の「強い意志」でできると思っているのか。「警察組織の悪弊が問題視されている」と指摘しておきながら、どうして、それをトップ個人の強い意志で何とかできると考えるのか。理解しがたい。「アンケート」は実名か匿名か。アンケート結果をきっかけに詳しい実態把握をするのであれば、実名アンケートということになる。だれが、実名で本当のことを書いてくるか。だれがどのような「教育と啓発」をするのか。ノルマ至上主義をそのままにした「教育と啓発」に何の意味があるのか。「相談窓口」はすでに設置されている。が、切実な相談はそこには行かない。どのように「充実」すれば、切実な相談が行くようになるのか。社説は、実際的で具体的な提案を何もしていない。

≪さらに福島も秋田も上司の処分は戒告や訓戒だったが、それで済む問題なのか。より厳しい処分で明確なメッセージを発することも検討すべきだろう。≫

どうして、戒告や訓戒に止まるのかを考える必要がある。

≪パワハラは学校のいじめと同様に社会全体で向き合うべき重い課題だ。社会正義と市民の命を守る組織だからこそ、根絶に向けて毅然(きぜん)たる姿勢を示す責任を警察は負う。≫

警察は、本当に、「社会正義と市民の命を守る組織」か。あるべき警察の姿と現実の警察をはっきり区別すべきだ。わたしたち一般人がしっかり見据えなければならないのは、袴田事件でも志布志事件でも、警察は組織をあげて証拠をねつ造し、犯人を作り上げた警察だ。その現実に立って、警察組織はどうあるべきかを考えなければならない。

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