私たちが払った税金、実は“談合の温床”になっているかもしれません
●全国133自治体・総工事額年間約3兆円規模の公共事業が対象
全国市民オンブズマン連絡会議は2002年度から23年間にわたって都道府県・政令市・中核市・県庁所在地市の公共事業の『落札率』を調査してきました。
●なぜ“落札率”が談合のサインになるのか?
入札業者がなるべく高い値段で落札できるよう、他業者と相談して値段を釣り上げる『談合』は、違法ですし税金の無駄遣いです。
通常、『談合』現場はこっそりどこかで行われるため、市民が談合の具体的証拠を入手することは困難です。
全国市民オンブズマン連絡会議は、各自治体の談合の傾向を調査するため、「落札率」を毎年分析しています。
『落札率』とは、自治体が定める上限である「予定価格」で割ったものです。
「落札率が高ければ談合の疑いがある」と、自治体ごとの平均落札率を毎年発表しています。
また、落札率90%の占める割合を「談合疑惑度」として発表しています。
自治体の入札制度もあわせて調査しており、自治体が「談合を許さない」と具体的な制度であらわしているかもチェックしています。
●調査対象と結果発表予定
都道府県・政令市は予定価格1億円以上、中核市・県庁所在地市は予定価格5000万円以上の工事を調査しています。
2025年10月25日(土)26日(日)に大阪市で開催予定の、第32回全国市民オンブズマン大阪大会で発表する予定です。
●落札率95%以上は談合疑惑度が極めて高い?
2005年度調査までは、談合疑惑度は落札率95%以上の割合で算出していましたが、2006年に談合が摘発された福島県・名古屋市で、本命業者のみ95%以下で入札する「95%ルール」を談合業界で作っていたことが判明。
06年度調査からは落札率90%以上の割合で算出するようにしました。
●全国的に落札率はどう変化してきたか?
2002年度から2021年度までの、都道府県・政令市・中核市県庁市の平均落札率推移をグラフ化してみました。
全国調査を始めた2002年度当初は平均落札率は高止まりしていましたが、様々な談合が摘発され、2005年12月にスーパーゼネコン4社による談合決別宣言がなされた前後に落札率が低下しました。
その後落札率は下げ止まり、2011年の東日本大震災以降、上昇に転じました。
2020年東京オリンピック、2022年ロシアによるウクライナ侵攻などで人件費や資材が高騰し、落札率も高止まりしています。
一方、一部自治体では「最低制限価格」ぴったりで入札する業者ばかりというところもあります。
・2002年度〜2005年度: いずれも高い落札率で推移(都道府県・政令市は95%前後、中核市も90%超)。
・2006年度以降: 談合摘発などの影響で一時的に落札率が大きく下がり、特に政令市は76.9%まで低下。
・2011年以降: 東日本大震災後を境に上昇傾向が強まり、再び90%台に戻る。
・2020年代: 都道府県・政令市・中核市すべてで93%前後の高止まり状態。
また、「落札率と工事成績の関係」をまとめている自治体も対象133自治体のうちわずか数自治体のみであり、自治体の談合追及の本気度が疑われます。
●AIも活用? これからの談合調査
過去20年以上にわたって「落札率」「談合疑惑度」を調査してきましたが、近年、AIを用いて談合を調査する手法が研究者の中で開発されてきました。
今後注目していきたいと思います。
●「入力ボランティア」募集
各自治体には予定価格と落札価格の一覧表の情報提供を依頼していますが、一部自治体は1件1件上記が記載された「紙」の入札結果調書を情報公開請求することが求められます。
1自治体数百件、地道に入力するボランティアを大募集しています。
office@ombudsman.jp にお問い合わせください。
●市民オンブズ活動に支援を
自治体からも企業からも支援ゼロ。市民の声とカンパがなければ、この調査は途絶えてしまいます。
上記情報公開請求にも費用が掛かります。
だからこそ、あなたの一歩がこの運動を前に進めます。皆様方のカンパが頼りです。
以下リンクからカンパのご協力をお願いいたします。
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全国市民オンブズマン大阪大会
全国市民オンブズマン連絡会議 落札率・談合疑惑度調査