平均は20点(100点満点)。最下位は5点。昨年度(2024年度)の全国“政務活動費マニュアル”は、まだザルでした。全国市民オンブズマン連絡会議は、47都道府県・政令市・中核市の「マニュアル」と領収書ネット公開最新状況を調べ、公開先を一括でリンク化しました。(最終更新:2025年8月28日)
あなたの自治体は、どの水準でしょうか?
・マニュアルリンク
・領収書ネット公開リンク

① マニュアル平均20点・最下位5点=抜け道が残る
② 本丸は「実効あるマニュアル」+「完全ネット公開」
③ リンクから自分の議会を即チェック
■市民オンブズが政務活動費に注目し続けるわけ
地方議員には、報酬とは別で、調査・研究のためだけに支給される「政務活動費」という補助金があります。
各地の市民オンブズ団体は、「政務活動費を用いた活動内容が公開されれば、まじめに調査をしている議員なのか、不真面目な議員なのかが市民に明らかにされる」として、まずは領収書の公開、おかしい使途の追及、さらに領収書や会計帳簿、活動報告書などのネット公開を求め続けてきました。
■なぜ政務活動費「マニュアル」を調べるのか
政務活動費には、「条例」「要綱」とは別に、「マニュアル」があります。
市民オンブズがマニュアルを点検する理由は、マニュアルの内容を良いものにすることが、政務活動費のあり方を改めさせる最も効果的な方法だからです。
「政務活動にあたるかどうかの判断を、議員自身がすることを許す」マニュアルは、一見詳細に様々な支出について定めたもののように見えても、ザルにすぎません。ザルなマニュアルでは、事務方が議員の身勝手を止めるツールにもなりません。
2024年8月、全国市民オンブズマン連絡会議は独自の評価基準で「政務活動費マニュアルランキング」を発表しました。
■なぜ“公開だけ”では不十分か
領収書公開は“最低限の透明化”。実効あるマニュアルがなければ、恣意的支出は「形式上の適法」にすり替わります。
■「マニュアル」評価基準は以下です
ア 政務活動費が政党に流出することを、どう規制しているか。(20点)
イ 議会控室での経費について、按分支出を要求しているか。(10点)
ウ 自動車燃料代を実費によらずに支出することを禁じているか、及び、実費による場合に議員の主観による按分を禁じているか。(10点)
エ 自動車リース代の支出を禁じているか。(10点)
オ 広報広聴費について上限1/2の按分支出を命じているか。(20点)
カ 飲食を伴う会合に参加する費用の支出を、議員の主観を許さない形で禁じているか。(15点)
キ 生計を一にする親族、自身又は親族が役員である法人への支出をどう規制しているか。(15点)
■昨年度政務活動費「マニュアル」評価 都道府県平均点は100点満点中20点
・都道府県議会 平均20点 最高45点(東京都・徳島県) 最低5点(埼玉県・愛媛県)
・政令市議会 平均25点 最高54点(さいたま市) 最低10点(横浜市・名古屋市)
どのマニュアルも、どこかに大穴があいており、議員が恣意的な――好き放題の――支出をすることを、どこかの場面で許しているのです。
■昨年度以降、「マニュアル」改訂は25都道府県・7政令市・23中核市
昨年度調査以降、2025年8月現在で自治体議会で「マニュアル」が改訂されました。
・25都道府県議会
宮城県、山形県、福島県、茨城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、石川県、福井県、岐阜県、京都府、兵庫県、奈良県、鳥取県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、高知県、佐賀県、長崎県、大分県、鹿児島県、沖縄県
・7政令市議会
札幌市、川崎市、新潟市、浜松市、大阪市、福岡市、熊本市
・23中核市議会
山形市、福島市、宇都宮市、高崎市、川越市、八王子市、横須賀市、富山市、金沢市、福井市、岐阜市、大津市、豊中市、八尾市、東大阪市、尼崎市、明石市、西宮市、鳥取市、倉敷市、福山市、佐世保市、鹿児島市
昨年同様の基準で採点して2025年10月25日26日開催の第32回全国市民オンブズ大大阪大会2025で発表予定です。
■「マニュアル」を読み込んだうえで「ネット公開された領収書」チェックを
全国市民オンブズマン連絡会議は、都道府県・政令市・中核市議会の政務活動費の領収書のネット公開の有無を調査し、公開している場合当該ページにリンクしました。
すでに、28都府県議会・14政令市議会・50中核市議会で領収書のネット公開をしています。
ぜひ「マニュアル」を読み込んだうえで「ネット公開された領収書」チェックを行いましょう。
👀 いま出来る3つ(大阪大会〔2025/10/25–26〕前に)
🔎 マニュアルを読む|🧾 領収書を確認|✉ 未公開なら質問する(テンプレ付)
①🔎 マニュアルを読む
「政務活動にあたるかどうかの判断を、議員自身がすることを許す」ようになっていませんか?「マニュアル」評価基準も参考にしてみてください。
②🧾 領収書を確認
ネット公開されていれば、「地元選出の議員の使い方」を見てみましょう。
PDFはテキスト検索可能(OCR)、期間・件名での一覧性を求めます。
③✉ 未公開なら質問する(テンプレ付)
ネット公開されていなければ、「なぜいまだにネット公開しないのか」議会事務局や議員に直接聞いてみましょう。
件名:政務活動費の領収書ネット公開について(◯◯市)
宛先:議会事務局(代表アドレス)もしくは議員
本文:いつまでに・どの形式(PDF/検索可能/期間・範囲)で公開する方針か、ご回答ください。公開しない場合はその理由と代替手段も示してください。
〈回答期限〉◯月◯日(◯)までにメールでご回答ください。
結論:領収書の“完全ネット公開”と“ザル条項の封じ込み”——この二つを、あなたの自治体で前に進めましょう。
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