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第11回全国市民オンブズマン函館大会

大 会 宣 言

1.警察の透明度と公正さをたかめよう

 昨年11月にここ北海道で発覚した北海道警察旭川中央署の捜査用報償費不正支出事件は、警視庁赤坂署事件など、これまで日本各地で明らかになった警察の不正支出と全く同一の手法であった。
 以降、全国各地で酷似した手法の不正経理が続々と明るみに出たことによって、不正支出は警視庁と北海道警察だけの問題でないことが誰の目にも明らかになった。ところが、これに対して警察がとった対応は、不正経理の真相の究明とは正反対の“犯罪の隠蔽”であった。不正経理のやり方が全国共通なら、発覚後の県警本部長の言葉、対処法まで全国共通、すべてがマニュアル化されているとしか言いようがない。
 このような警察にはもはや自力“更生”を期待することはできない。私たち市民の手で変えてゆくしかない。そのための第一歩として、警察情報の非公開処分に対する取り消し訴訟を全国で提起するとともに、警察の監査を厳しくするよう監査委員への働きかけをする、都道府県警察を管理する公安委員会への働きかけを始める、といったさまざまな取り組みをはじめることをここに宣言する。互いに成果を交換し合い、警察の透明度と公正度を高めよう。

2.ムダな公共事業をやめさせる取組みを強化しよう

 地方自治体が主体となって推進する公共事業の規模は年間25兆円に及ぶ。このほかに国の直轄事業に対しても、地方自治体は巨額の負担金を支出している。
 私たちは、今大会で、各自治体に設置されている公共事業再評価委員会が、実質的に機能しているか否か、という調査を初めて行なった。
 しかし調査の結果、03年度において再評価委員会が実質的に機能したのは、都道府県では長野県のみ、政令市では広島市だけであった。長野県以外にも17府県、また広島市以外にも3政令市が、それぞれごく一部の事業の中止を決めたが、中止事業の事業費総額は2700億円程度で、長野県と広島市が中止を決めた事業の事業費合計5400億円の半分にすぎない。しかも他の29都府県、9政令市は、03年度において1件も中止を決めていない。
 私達は、長野県や広島市の取組みを全国に広げることを追求するとともに、これまでの各地のオンブズマンの経験を活用して、ムダな公共事業を差止める住民訴訟への全国的支援を、今大会を期に強化することを宣言する。
 その第一弾として、首都圏1都5県の住民とオンブズマンによる、八ッ場(ヤンバ)ダムへの負担金支出の差止めを求める一斉住民監査請求および住民訴訟を全面的に支援する。

3.談合をやめさせる取組みを強化しよう

 ムダな公共事業が反省もなく継続される背景には、入札談合とそれを支える利権の闇が広がっている。
 私たちの調査でも、「一般競争入札の大幅導入」と、「地域要件の撤廃もしくは緩和」という正攻法で談合防止に踏み切っている自治体は、まだまだ極めて少ない。
 しかし、宮城県、長野県につづき、入札制度改革に踏み切った新潟市や横浜市では、平均落札率が約80%まで落ちているという事実が示すように、談合を放置することによって自治体が蒙る損害は巨大である。
 私たちはこれまでの経験を生かし、新潟市で明らかになった下水道管渠布設工事の談合について、全国的な入札調書の分析などの方法で、大手ゼネコンの談合事実を解明することを含めて、談合の責任を追及し、談合しにくい入札制度を確立させる取組みを強化することを宣言する。

2004年8月28日

第11回全国市民オンブズマン函館大会 参加者 一同