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包括外部監査で「手数料・使用料減免」監査する意味とは?

青年会館に貸した土地使用料が“なぜか”95%減免に?
それ、本当に公平ですか?
包括外部監査があぶり出した「手数料・使用料減免」の闇——。
行政を外部から監査する「包括外部監査」は本当に機能しているのか?
市民が毎年「通信簿」をつけています。
●「包括外部監査」とは
税金の無駄遣い、いまだに…
そのチェック役として1999年に導入されたのが「包括外部監査」です。
弁護士や公認会計士、税理士など外部の専門家が地方自治体を監査します。
都道府県・政令市・中核市では年1回の「包括外部監査」が義務付けられており、テーマは包括外部監査人が任意に選んでいます。
包括外部監査人が付した「指摘」「意見」に対し、自治体は制度見直しにつなげる材料として重要視されています。
●通信簿の意義と評価の流れ
上記「包括外部監査」が形だけになってしまわないか、全国市民オンブズマン連絡会議は2000年から毎年上記「包括外部監査」を読み込んで「通信簿」として冊子にまとめています。
制度発足当初、豊田市の監査結果はペーパー1枚で1155万円でしたが現在では平均約1300万円、約200ページ(令和5年度)の「包括外部監査」が作られています。
2025年6月22日(日)に全国市民オンブズマン連絡会議は第6回包括外部監査評価班WEB会議を行いました。
今年も新型コロナウイルス蔓延防止と経費節減のため、全国各地の市民オンブズマンの弁護士・公認会計士・税理士・地方議員ら23名がWEB会議システムを利用し、白熱した議論を行いました。
2024年度に包括外部監査を実施した全国135自治体のレポートを各評価班員が事前に読み込み、担当者毎に「出先機関」「上下水道」「外郭団体」「生活保護」などのレポートの出来を次々と評価していきました。
現在114自治体の評価が確定し、残り21自治体となっております。
今後取りまとめ、2025年10月ごろ「通信簿」として発表する予定です。
●今年の注目事例:手数料・使用料減免
ある自治体の包括外部監査は「手数料・使用料減免」がテーマでした。
評価班員から「手数料・使用料を一括して見る意味があるのか?
施設によって性格が違う手数料・使用料はひとまとめに出来るのか?」というテーマ設定の妥当性を問う意見や、「“誰のための減免か”が不明確だと、本当に支援が必要な人に届かず、特定団体への“便宜”になってしまう危険もあるが、その視点がない」「『すべて受益者負担で良い』とまでは言っていない」「『減免を増やす/減らすべき』なのか、全体像が分からない」「個別に細かくチェックしました、というだけの監査の印象」「『よくわからない天下り団体に対して減免している』という指摘でもない」など中身に踏み込む意見が出ました。
なお、同様のテーマである令和5年度富山市包括外部監査「公の施設の使用料」では、<理想的な受益者負担割合の設定(受益者負担マトリックス)>を設定し、市場性の高い低い、必需性の高い低いで、受益者負担率0%、25%、50%、75%、100%にわけて整理すべきとしています。(「通信簿」では優秀賞にしました)
・令和5年度富山市包括外部監査人 公認会計士 髙畠 亮一
 公の施設の使用料について
 https://www.city.toyama.lg.jp/shisei/kansa/1011021/1007226.html
滋賀県では、青年会館に県有地を貸与するにあたって95%の減免が行われていたことが、裁判で「裁量権の逸脱」と認定されました(大津地裁判決/2022年9月)。
https://watchdog-journalism.com/shiga65
●市民ができること
各地の自治体は、包括外部監査ならびに措置をホームページ上で公開しているので、ぜひ一度見てみてください。
https://www.ombudsman.jp/houkatsu_category/link
「包括外部監査」という制度は、使い方次第で“絵に描いた餅”にも“税金の番犬”にもなり得る。
だからこそ、市民によるチェックが必要不可欠なのです。
地方自治体には議会も監査委員も包括外部監査もあります。
にもかかわらず、どうして税金の無駄遣いが減らないのか?
市民が、それら公的仕組みをチェックしたり、情報公開請求や住民監査請求・住民訴訟でチェックし続けることが何よりも重要です。
「まずは地元の監査レポートを読んでみる」だけでも立派な市民参加です。できるところから、チェックの輪に加わってください。
日本では私たち市民が「主権者」なのです。
投票日だけの「有権者」ではない、ということを行動で示してみませんか?
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 (※通信欄に「包括外部監査支援」と記載)
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