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全国大会警察分科会

最終更新時間:2004年10月06日 09時52分15秒

 全国市民オンブズマン大会 警察不正経理問題分科会

2004年8月28日、29日に函館で全国市民オンブズマン大会が行われ、警察不正経理問題の分科会が行われました。そこで発表された資料を掲載いたします。

大会資料販売

大会資料は全国市民オンブズマン連絡会議事務局で、販売しています。1セット(355ページ+372ページ+警察分科会資料73ページ)3000円(送料込み)。希望冊数、住所・氏名を記入の上office@ombudsman.jpかFAX(052-953-8050)でお申し込み下さい。資料に振込用紙を同封いたしますので後日お振込み下さい。


2004年8月29日

裏金作りの牙城=警察を“更生”させるための処方箋

警察不正経理問題分科会

 1 行政機関の裏金作りは“悪”!

全国市民オンブズマン連絡会議では、これまで知事部局、監査委員事務局、教育委員会、議会等々、都道府県の組織内における長年にわたる組織的不正経理=裏金作りを、情報公開制度を活用して暴き、社会的に問題提起して、これを是正させてきた。これらの行政組織において不正経理がすべてなくなったわけではないとしても、少なくとも組織的不正経理が“悪”であり、なくなるべきものであることは、社会的にもその行政組織内においても認知されたと言ってよいだろう。

 2 警察の経理は真っ暗闇

ところが、都道府県の一組織であるはずの警察本部の態度はきわめて異様である。情報公開には全国どの警察本部も極端に消極的で、百点満点のテストで言えば、5点、10点をとる“生徒”が数人いるだけで、後は全員が零点という状況。その後進性に後ろめたさを感じて、少しずつでも公開度を高めようという様子は微塵もない。都道府県警察本部の経理は納税者である国民に隠して当然。真っ暗闇の世界である。

 3 警察庁を中心とする不正経理構造

『警察刷新に関する緊急提言』(2000年(平成12年)7月13日)で、「犯罪捜査の秘匿性を強調するあまり、警察行政が閉鎖的になるとともに、本来公開すべき情報が公開されないおそれがある」と指摘されたにもかかわらず、警察の経理は、相変わらず、頑なまでに公開という光を拒み、非公開という闇の中に居続けようとしている。なぜか。理由は簡単である。外部からの監視がないまま、警察庁と都道府県警察本部が組織をあげて長年にわたって不正経理に行なってきたため、組織的不正経理が徹底的に増長してしまい、何が正常かがわからなくなってしまっているからである。これまで市民オンブズマンが問題にしてきた自治体の不正経理はその組織の部分的な“影”であったのに対して、警察本部の不正経理は“影”こそが全体なのである。しかも、警視総監・警察本部長は国家公務員=警察官僚であり(警察法55条3項)、彼らが裏金作りの頂点にいる。北海道警・静岡県警・福岡県警どこでも警察本部長が、不正経理が発覚した直後には「不正はない」と強気の発言をし、隠し切れなくなると、「不正は発覚した警察署だけ」「不正は発覚した分だけ」とトカゲの尻尾切りをし、だれも逮捕しないでカネを返すことだけを決めて、実行する。これは、不正経理の疑惑が自分にまで及ばないようにしたい警察官僚の自己保身だけが動機である。

 4 警察に管理されている公安委員会

警察の独善・独走を排除するために、警察法は、国家公安委員会は警察庁を「管理する」(5条2項)、都道府県公安委員会は各都道府県警察を「管理する」(38条3項)と規定している。警察が知事からの独立性を制度的に保障されている代わりに、住民による(警察法39条1項参照)民主的コントロールという手法を採用したのである。

ところが、国家公安委員会の小野清子委員長の警察不正経理問題に関する国会答弁は、およそ日本の警察組織全体の民主的統制とは正反対の、警察官僚の作文であり、答弁の一言一言が小野清子委員長の後ろに控えている警察官僚の指定するものだった。

今回の都道府県公安委員会アンケート調査によれば、都道府県公安委員会の閉鎖性は、皮肉にも警察以上であり、組織的不正経理問題に真摯に取り組んでいるところはひとつもなかった。公安委員会と警察の実際の関係は、監視する側とされる側が完全に逆転している。これでは警察組織内に不正経理がはびこるのは当然であり、都道府県公安委員会にこの問題を解決することなどできない。

 5 不正経理の暗闇からの脱出を目指して

警察の不正経理問題はこれまで全国市民オンブズマン連絡会議が取り組んできたどの不正経理問題よりも悪質で、根が深く、全国的・国家的で、抵抗勢力の狡猾さと力は凄まじいものがある。警察官僚は自分たちが築いてきた権力の牙城を崩されまいと必死である。そうであるだけに、この改革はほとんど絶望的のようにも思える。

しかし、多くの国民に絶望的な現実が見えるということは、すでに事態は改革の方向に進み始めていることを意味している。そこには、絶望を希望に変えなければいけないという、多くの人々の意志がある。意志のないところでは何も始まらないが、多くの意志があるところから事態は動き始める。意志は一般国民にあるだけではない。日本の警察の腐敗を憂える現職・元警察官が無数にいる。市民オンブズマンに内部通報してくる彼らの存在こそ、警察の組織的不正経理のひどさと、それをやめることの重要性を強く実感させるものである。

いま、私たちは、警察の組織的不正経理“撲滅”作戦を実行に移しつつある。第1に、警察組織内部では不正経理を巡って分裂が生じている。警察組織内部には、組織的不正経理でトクをしている人たち(主に警察官僚)と、損をしている人たち(主に現場の警察官)がいる。損をしている人たちはこれ以上不正経理に関わりたくないと思っている。関われば関わるほど警察官の仕事をやりにくくしてしまうからである。今後、このような勢力がますます広がって行くに違いない。

第2に、情報公開訴訟で原告勝訴の範囲が広がってきている。情報公開訴訟で裁判では「捜査への支障」を個別具体的に検討するようになってきた。このような考え方になってゆけば、具体的な捜査内容がわからない会計文書については今後、裁判において公開度が高まる可能性が大いにある。その延長として住民監査・住民訴訟の実現可能性も出てくる。

第3に、都道府県監査委員のなかに不正経理問題に取り組み始めたところがある。これまでの監査委員の警察監査には過剰なまでの遠慮があったが、北海道監査委員の活動にみるように、実際にやればかなりのことができる。監査を拒む理由とされている「捜査上の支障」が実は本来、拒む理由になり得ないということがわかってくれば、監査委員が今後、その本来の役割を果たすようになるはずである。2004年(平成16年)2月26日付けの警察庁から都道府県警察あての通知で、「監査委員等から捜査員に対する聞き取り調査の要求が行われたときは、特段の業務上の支障がない限り、これに応じるよう配慮されたい。」としている。

第4に、公安委員会と国民の間の風通しをよくする。公安委員会が警察を監視する役割を果たさなくなってしまった原因のひとつは、国民が公安委員会の仕事についてあまりにも軽視しすぎていた点が挙げられる。この逆転現象を元通りにするには国民が公安委員会の活動に関心を持ち、積極的に意見を言い、提案し、公安委員会と住民の距離を狭めて行く必要である。

各地の市民オンブズマンができることから着手し、小さな成果を挙げ、その成果を全国で共有することが、着実に警察組織を変えてゆくことに繋がるはずである。

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