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国公立病院等発注 寝具類の賃貸・洗濯業務談合

国公立病院等発注 寝具類の賃貸・洗濯業務談合 追及

最終更新日 2004.10.15

簡単な経緯説明

経緯の詳しい説明は、本ページ一番下の審査要求書に記載してあります。

  • 公正取引委員会が国公立病院等発注の寝具類の賃貸・洗濯業務談合に対し、平成13年8月10日付で関係業者に対し排除勧告を行なった
  • 全国市民オンブズマン連絡会議が、公立病院の談合に対し、損害賠償請求を起こした。一覧表はこちら。(pdf)
  • 国立病院に対しても損害が発生しているはずだとして、全国オンブズが平成15年10月15日付で会計検査院に審査要求書を提出した。
  • 会計検査院から却下の通知が平成15年12月15日付で出た。
  • 会計検査院は平成16年10月15日までに4国立大病院と36国立病院に対し損害賠償請求するよう文部科学省と厚生労働省に要請した。
会計検査院に対する「審査
要求書」が却下されました

全国市民オンブズマン連絡会議が2003年10月21日付で会計検査院に提出した審査要求(国立病院 寝具リース
談合の件)で、12/15以下のように「却下通知」が出されました。
取り急ぎお伝えいたします。


15検第519号
平成15年12月15日

全国市民オンブズマン連絡会議
代表幹事
大川隆司 殿
秋田仁志 殿
会計検査院長
杉浦 力

審査要求却下通知書

国立病院等が発注する寝具類の賃貸借契約及び洗濯業務の委託契約に係る貴
殿の審査要求は、次の理由により却下することに決定したので通知します。
理 由
会計検査院法第35条第1項の規程により会計検査院が審査を行うのは、国の会
計事務を処理する職員の会計経理の取扱いに関し、利害関係人すなわち国の会
計事務職員の会計経理の取扱いによって自己の権利または利益に直接影響を受
けるものから審査の要求があった場合に限られる。
本件審査要求は、国立病院等が発注する寝具類の賃貸借契約及び洗濯業務の
委託契約に係る一般競争入札又は指名競争入札等に当たり、受注業者が共同し
て競争を実質的に制限したことにより国が受けた損害について、主務官庁その
他の責任者が受注業者に対してその損害の補てんを求めることを内容とするも
のと認められる。
しかし、本件国立病院等における一般競争入札又は指名競争入札等の行為は、
国の会計事務を処理する職員の会計経理の取扱いと認められるものの、当該
会計経理が是正されたとしても、審査要求人は、これによって自己の権利又は
利益に直接影響を受けるわけではないから、同条同項に規定する利害関係人と
は認められない。
なお、労働福祉事業団が設置している病院における一般競争入札又は指名競
争入札等の行為は、国の会計事務を処理する職員の会計経理の取扱いではない。
したがって、本件は会計検査院法第35条第1項に規定する審査要求とは認めら
れない。

以上。

会計検査院に対する「審査
要求書」提出行動について
03.10.4 全国幹事会提案
1.行動の意義
(1)「国公立病院寝具談合」については、公正取引委員会の処分(勧告審決、課徴金納付命令)と住民監査請求を経て、関係自治体のほとんどが損害賠償請求にふみ切っている(契約額に対する賠償金の比率はおおむね5%、ただし一部に7%、10%も)。
これに対し、国立病院関係では同種の請求はされていない。
(2)我々はかねてから国レベルの納税者訴訟(国民訴訟)制度の創設を提言しているが、このような制度ができるまでの間は、会計検査院法35条に基づく「審査要求」制度を利用するしかない。
(3)この制度では、審査要求権者は「利害関係人」に限定されている。
従って会計検査院には

(1)我々の「利害関係人」性を否定して門前払いする
(2)利害関係人性は認めないが職権による措置(34条又は36条)という形で実質的に要求を容れる
(3)納税者の利益を代弁するngoにも利害関係人性を認める

という3つの選択肢がある。
(4)今回の要求に対する会計検査院の対応が前向きのものであれば、オンブズマン活動の「ビジネスモデル」が拡張されることになるし、仮に上記(1)の門前払いであっても、そのことは国民訴訟制度の必要性をアピールする、いい材料になる。

2.審査要求書の内容 別添のとおり

3.スケジュール提出日時 03年10月21日午前10時
(午後は、最高裁(三小)で、大阪府食糧費情報公開訴訟の弁論あり)
提出先 会計検査院長
(窓口は同院2階。官房法規課第5法規係)
所在地は東京都千代田区霞が関3-2-1
電話(代表)03-3581-3251

審 査 要 求 書
2003年10月21日
会計検査院院長 杉 浦 力 殿

全国市民オンブズマン連絡会議
代表幹事  大川 隆司  秋田 仁志
高橋 敬一  永井 敬三

審 査 要 求 書
第1 審査要求の趣旨
国立病院が発注する寝具類の賃貸借契約および洗濯業務の委託契約に関し、受注業者らの談合によって国が蒙った損害について、填補賠償の請求をしないまま放置することは不当であるので、御庁が主務官庁その他の責任者に対し、その是正をはかるよう通知することを求める。

第2 審査要求の理由
1. 不法行為に基づく国の損害賠償請求権の存在
(1)公正取引委員会は、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、富山県、石川県、大阪府、及び兵庫県(以上1都1府6県)に所在する国公立病院等が、競争入札又は指名見積り合わせの方法によって発注する寝具類の賃貸・洗濯業務について、遅くも平成7年12月中旬頃以降平成12年10月18日までの間において、入札参加業者間に談合(独占禁止法第3条に違反する不当な取引制限)が行なわれていたことを認定し、平成13年8月10日付で関係業者に対し排除勧告を行なった。(別添資料1)
勧告を受けた業者(別紙1「違法行為事業者一覧表」記載のとおり。40業者)は、いずれも同勧告を応諾したので、公正取引委員会は同年9月19日付で勧告審決(独禁法48条4項)をした。

(2)その後平成14年6月12日付で公正取引委員会は、違反業者40者のうち、平成9年度から平成12年度までの間の受注実績を有する31業者に対し、課徴金納付命令(独禁法48条の2,第1項)を発した。(別添資料2)
命令を受けた業者は、別紙2「課徴金納付命令対象事業者一覧表」記載のとおりである。
なお、同命令後しばらくして課徴金の算出の基礎となった寝具類賃貸契約および洗濯業務等委託契約のリストが情報公開法に基づいて開示された。(別添資料3)
違反行為の対象となった契約高の総額は68億2651万円余、このうち国立病院(労働福祉事業団を含む)関係は、別紙3の契約状況一覧表の記載のとおり、契約件数166件、契約高総額16億3923万円余にのぼる。

(3)いうまでもなく独占禁止法3条違反行為は犯罪である(同法89条)と共に、発注者に対する不法行為であり、共犯関係にある業者は受注の有無にかかわらず連帯して損害賠償義務を負う。
その損害の程度は、仮に談合がなく競争が成立していたとすれば実現しえた筈の価格(競争価格)と現実の契約金額との差額である。

2.地方公共団体による損害賠償請求の事実ならびに国の機関によるその過怠
(1)全国市民オンブズマン連絡会議に所属する各地の市民オンブズマン組織は、平成14年11月から平成15年6月にかけて、前記1都1府6県のうち、埼玉、石川両県を除く1都1府4県およびその管内の9市の監査委員に対し、地方自治法242条に基づき、上記損害賠償請求権の行使を執行機関に勧告することを求める監査請求をした。

(2)監査請求を受けた監査委員(1都1府4県9市)のうち、千葉市と大阪市の2市を除き、いずれも請求を認容し、執行機関に対し期限を定めて損害賠償請求権を行使するよう勧告をした。
千葉市と大阪市の監査結果は、いずれも請求を棄却するものであったが、棄却の理由は執行機関が自発的に請求を準備しているので怠る事実があるとは言えない、というもので、損害賠償請求権の成立自体を否認するものではなかった。(別紙4 住民監査請求の結果一覧 および 別添資料4の1ないし15)

(3)これらの勧告を受けて、各執行機関のほとんどは、既に業者に対する請求をしており、中には千葉県のように債務弁済に関する合意をすでに締結(平成15年5月28日付)したところもある。売上高に対する請求額の割合はおおむね5%であるが、中には7%、10%の請求例もある。(別添資料5の1ないし13)
(4)国の有する損害賠償請求権については、債権管理機関である関係各省庁の長等は、「財政上もっとも国の利益に適合するように処理」する責任を有する(国の債権の管理等に関する法律第10条参照)。
同種の債権について既に多くの地方公共団体がその回収に着手している今日において、厚生労働省、文部科学省、防衛庁の各省庁および日本郵政公社、労働福祉事業団が、権利を行使しないままでいることは法の許容するところではない。
損害率を5%と仮定しても、国立病院関係の売上高合計16億円余を基準とする損害額は8000万円余にのぼる。

(5)以上の次第により会計検査院法第35条および会計検査院審査規則第3条に基づき、御庁が前記趣旨の是正通知を発せられるよう審査要求をする次第である。

第3 添付資料の表示

1.公正取引委員会の発表文(平成13年8月10日)
「国公立の病院等が発注する寝具類の賃貸・洗濯業務の入札参加者に対する勧告について」
2.同(平成14年6月14日付)
「国公立の病院等が発注する寝具類の賃貸・洗濯業務の入札参加業者に対する課徴金納付命令について」
3.課徴金の算定基礎となった契約の一覧表
4の1ないし15 富山県ほか14地方公共団体の監査委員による監査結果通知書
5の1ないし13 富山県ほか12地方公共団体の監査委員による措置状況通知書