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弁護士報酬が不当に安すぎる!訴訟

【重要】13/1/30 新地方自治法 住民訴訟弁護士報酬(1~3号請求)は算定可能 横浜地裁

新地方自治法(2002年改正)に基づく住民訴訟(1~3号請求)の
住民側弁護士報酬につき、「自治体の経済的利益」が
算定可能であるという判決が2013/1/30に横浜地裁で出されました。
弁護士会報酬規程に基づき、原告側代理人が請求した
400万円を認めました。

以下、代理人弁護士の大川隆司氏の解説です。
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住民訴訟の弁護士報酬に関するよい新判例を獲得しました。
ご承知のとおり20・o2年の地方自治法改正で、それまでは4号請求勝訴の
場合についてのみ認められていた住民側弁護士報酬(の自治体負担)が、
1~3号請求にも拡張されました。しかし、その場合の「自治体の経済的利益」は
算定不能であるという考え方が一般的にあり、(平成21年最判に対する
武田真一郎教授の評釈=判例評論614号6頁)、管見の限り、判例は存在
しませんでした。

今回の横浜地裁判決は、極めてアッサリしてはいますが「住民訴訟の特殊性を、
弁護士報酬算定の場合まで反映させる必要はない」というバックボーンに貫かれた
好判決なので、全国の仲間にお知らせしたい、と考えました。

なお、藤沢市は控訴しない模様です。

【重要】09/4/23 最高裁が、旧地方自治法242条に基づく住民訴訟の弁護士報酬は「算定不能ではない」との初判断示す

市民の立場から自治体の損害の回復を求める住民訴訟では、たとえ勝訴しても訴えた市民に直接お金が入ることはありませんが、市民側の弁護士は勝訴した場合、自治体に対して、弁護士報酬の支払を報酬額の範囲内で相当と認められる額請求することができます(地方自治法242条の2の12)。

名古屋市のごみ処理施設「新南陽工場」談合住民訴訟では、市民グループは談合による損害金の返還を業者に求めて9年半かけて最高裁で勝訴が確定し、利息を含めた12億4720万1661円が業者から名古屋市に返還されました。
市民グループ側の弁護士は、名古屋市に対して、経済的利益の額を返還金全額とし、日弁連の報酬基準規程を元にした約1億2400万円の報酬を請求しましたが、名古屋市側は「住民訴訟の経済的利益は算定不能であり800万円と見なされ、報酬は198万円と計算できる」と主張してきたため、今回裁判になりました。

市民の立場から自治体の損害について回復を求める住民訴訟は、これまで数々の成果を上げてきました。
複雑な訴訟が多く、10年近くかかる裁判もざらにあります。市民側弁護士が活躍しなければそれら勝訴はあり得ませんが、勝訴したにもかかわらず市民側弁護士に入る報酬が不当に安すぎるとしたならば、住民側の負担はあまりにも多く、だれも住民訴訟を起こすことができなくなってしまいますし、弁護士も受任しなくなってしまうおそれがあります。

この判決(07/9/29名古屋地裁判決)によって、住民訴訟がもっと活発なものとなることを願います。