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大阪高裁も「橋下前市長と職員の1対1メールは『公文書』に当たりうる」

大阪市が「橋下徹大阪市長(当時)が職員に1対1で送った電子メールのうち、プリントアウトしていないもの、または他職員と共用していないものは公文書に当たらない」としたのはおかしいとして大阪の弁護士が情報公開訴訟を起こしていた件で、大阪高裁は17/9/22に、不存在決定を取り消した16/9/9判決を維持し勝訴しました。
https://www.ombudsman.jp/data/170922.pdf

判決では、「本件文書が組織として保有するものに該当することも十分あり得るというべきである(ただし、被控訴人が主張するように、大阪市長と職員との間、又は職員間で職務に関してやり取りされたものである以上、すべからく組織共用文書となると解するものではない)。」と述べました。

なお、大阪地裁判決では公開の義務づけを求める部分は棄却されましたが、原告側は附帯控訴をしなかったため、大阪高裁では判断しませんでした。

・16/9/9 大阪地裁判決
 http://www.ombudsman.jp/data/160909.pdf

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全国市民オンブズマン連絡会議が2017年6月に行ったアンケートによれば、共有サーバーで保存していない1対1メールでのうち、メールの内容をプリントアウトして保有していない場合には、都道府県で1、政令市で0、中核市で7の自治体が公文書として扱うのみで、都道府県で40、政令市で14、中核市で20の自治体は「場合による」と回答がありました。
https://www.ombudsman.jp/taikai/mail2017.pdf

本来情報公開制度の対象となるべき文書が行政組織内で人知れず破棄される事件の再発を防ぐためには、何をもって「組織的に用いる文書」と評価すべきかを市民としても検討し、制度の改正や運用の改善を働きかける必要があります。