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国会議員 文書通信交通滞在費 各政党に領収書公開等を求める申入れ 郵送

「全国市民オンブズマン連絡会議」は、現在国会で制度改正をしようとしている文書通信交通滞在費に関し、「使途基準明確化、領収書添付と使途公開の義務づけを求める申入れ書」を2021年12月6日付けで衆参議長、各政党党首あてに郵送しました。
https://www.ombudsman.jp/data/211206.pdf


文書通信交通滞在費 使途基準明確化、領収書添付と使途公開の義務づけを求める申入書

2021年12月6日 
全国市民オンブズマン連絡会議

衆議院議長 細田博之殿 参議院議長 山東昭子殿
各党 党首 殿

第1 要望の趣旨
 (1)文書通信交通滞在費について、使途基準を明確に定めること
 (2)文書通信交通滞在費の使途報告書ならびに領収書を各議院に提出した後、WEB等で市民に容易に公開すること
 (3)文書通信交通滞在費が余った際は各議院に返還すること

第2 要望の理由
私たちは、税金の無駄使いや行政の不正を追及する市民団体の連絡組織です。
さて、私たちは長年、地方議会議員に支給される「政務調査費・政務活動費」の使途の透明化と支出の適法性を求め続けてきました。
地方議会は、国会の会派に対する立法事務費を参考にして、平成13年から政務調査費を導入しました(その後平成25年に政務活動費と名称を変更)。制度が始まった平成13年には、都道府県議会・政令市議会で領収書を一部でも議会に提出・公開しているところは皆無でしたが、長年の地方議会への働きかけ・裁判の結果、平成27年から全ての都道府県議会・政令市議会で1円以上全ての領収書が議会に提出・公開されるようになりました。領収書については紙での公開だけでなく、平成23年函館市議会を皮切りにWEBでの公開も始まり、令和3年5月現在、47都道府県・20政令市・62中核市の合計129議会中、WEBで領収書を公開しているのは、22都府県・13政令市・45中核市の合計80議会(62%)にものぼります。
また、領収書や活動報告書等の公開に伴い、地方自治法の趣旨に反する支出が多数判明したため、各地の市民は返還を求める住民監査請求・住民訴訟を起こしてきました。これまで少なくとも10億円弱の政務調査費・政務活動費が住民監査請求で返還勧告をされ、また各地で少なくとも130件を超える住民訴訟が起こされています。
一方、国会議員個人に対して支給される文書通信交通滞在費(1人当たり月額100万円)、会派に対して支給される立法事務費(1人当たり月額65万円)については、領収書の各議院への添付義務も使途の報告義務も公開義務もなく、目的外使用への罰則もありません。過去複数回にわたり、目的外使用や使途不明金、繰越金が問題視されました。
同じ議員の「調査研究目的」のための税金にも関わらず、国会議員と地方議会の扱いがあまりにも違いすぎます。平成13年に「衆議院改革に関する調査会(瀬島龍三会長)」が『衆議院改革に関する調査会答申』を出し、「立法事務費及び文書通信交通滞在費の使途を明らかにする」と提言しましたが、以降20年間全く手がつけられていません。
現在、国会各会派は文書通信交通滞在費について日割り計算ができるように制度を見直そうとしていると報道されています。しかしながら、地方議会同様、国会議員に対する文書通信交通滞在費についても、使途基準を明確にした上で、領収書を添付して各議院に提出し、余れば各議院に返還し、領収書や活動報告書等をWEB等で市民に容易に公開する制度を創設すべきです。仮に非公開部分があるとすれば、当該部分のみ行政機関情報公開法に準じた基準で非公開にすべきです。
地方議会では、政務活動費を用いた調査研究の内容が透明化されることで、議会での議論が活発になりました。国会でも、まずは文書通信交通滞在費に関して透明化を図り、さらなる国会での論戦の活発化を望みます。
以上


「文書通信交通滞在費」と「政務活動費」比較してみました。
https://www.ombudsman.jp/data/211206-1.pdf