事 務 連 絡                       平成15年1月21日 各都道府県 住民基本台帳ネットワークシステム担当課長 殿 財政担当課長・情報政策担当課長 殿                       総務省自治行政局市町村課長 住民基本台帳カードの発行準備等に関する留意事項について  住民基本台帳ネットワークシステムの構築については、常日ごろから御尽力 を賜り、まことにありがとうございます。  住民基本台帳法の一部を改正する法律(平成11年法律第133号)のうち、同法 附則第1条第1項第3号に掲げる規定(住民票の写しの広域交付、転入転出特例、 住民基本台帳カード等に係る部分を追加する規定)は、公布の日から起算して 5年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとされており、 平成15年8月の施行が予定されているところです。  このうち、住民基本台帳カードについては、平成15年度予算における住民基 本台帳カード発行経費の計上、住民基本台帳カード交付手数料条例の制定等を はじめ、所要の発行準備を行う必要があり、また、住民基本台帳法(昭和42年 法律第81号)第30条の44第8項の規定により住民基本台帳カードは条例に規定す る目的に利用することができるとされていることを踏まえ、その有効利用につ いての検討を積極的に行う必要がありますので、各市区町村におかれては、特 に下記事項に御留意のうえ、これらの準備、検討等を進めていただきますよう 、よろしくお廉いいたします。  あわせて、都道府県におかれては、市区町村に対する所要の支援を行ってい ただきますよう、よろしくお願いいたします。  また、貴都道府県内市区町村の住民基本台帳ネットワークシステム担当課長 、財政担当課長及び情報政策担当課長に対しても、この旨を周知下さるようお 願いいたします。                      記 1 住民基本台帳カード発行経費の予算計上 (1)各市区町村においては、住民基本台帳カードの交付枚数を予測し、適切な ICカードの調達枚数及び予算単価を定め、平成15年度予算に所要額を計上する こと。あわせて、住民基本台帳力一ド発行に伴う消耗品費等についても所要学 を平成15年度予算に計上すること。 (2)各市区町村における住民基本台帳カードの交付枚数は、交付手数料の水準 、住民基本台帳カードの条例に規定する目的への利用の有無等により影響を受 けることとなるので、これらの点を勘案するとともに、予備分を含め、十分な 余裕をもってICカードの調達枚数を定めること。 (3)ICカードの予算単価については、各市区町村においては、カードベンダー 等に対し事前の十分な調査を行い、適切な予算単価を定めること。 なお、各市区町村が個別にカード調達を行う場合、調達規模が小さいため、 調達単価が上昇するおそれも考えられるところであり、住民負担を極力抑制す る観点から、カードの共同調達、外部委託等について検討を行うなど、調達単 価を抑制する努力を行う必要があること。  また、都道府県においては、市区町村がこれらの取組みを行うことができる よう支援を行うことが望ましいこと。 (4)なお、人口3万人以下の市区町村であって住民基本台帳カードの発行を( 財)地方自治情報センターに委託する市区町村は、別途、(財)地方自治情報 センターから通知される積算資料を基礎として、住民基本台帳カード発行委託 料を平成15年度予算に計上すること。 (5)住民基本台帳カードの交付に要する経費(ICカード購入原価、カード交付 に係る消耗品費及び人件費等)のうち、2(2)のカード交付手数料の収入を超 える部分(一般財源所要額)については、所要の地方交付税措置を講じる予定 であること。 2 住民基本台帳カード交付手数料条例等の制定 (1)住民基本台帳ネットワークシステムの2次稼働にあたり、住民票の写しの 広域交付手数料とあわせて、住民基本台帳カード交付手数料についての条例を 制定すること。 (2)住民基本台帳力一ド交付手数料は、交付に要する経費と住民の受益を踏ま えつつ、各市区町村において適切に定めるべきであるが、住民基本台帳カード は市区町村が貸与するものであり、また、電子政府・電子自治体の基盤として 市区町村行政の効率化にも資するものであるため、住民基本台帳カードの交付 に要する経費のうち ICカード購入原価を除く概ね1件当たり500円程度が適当であると考えられるも のであること。 3 住民基本台帳カード発行の外部委託 (1)カード調達単価を抑制するためには、住民基本台帳カード発行の外部委託 を行うことも一つの方策であるが、その場合のセキュリティ基準は以下のとお りとするので、カード発行の外部委託を検討している市区町村においては、あ わせてセキュリティ対策についても十分な検討を行うこと。  なお、住民基本台帳カードの発行業務については、住民基本台帳法第30条の 31に規定する本人確認情報の電子計算機処理等に含まれると解されることから 、委託先手業者等に対しても同条第2項の秘密保持義務が課せられることとなる こと。  1. 電気通信回線を通じた送信又は磁気ディスクの送付の方法並びに磁気デ ィスクヘの紀録及びその保存の方法に関する技術的基準(平成14年総務省告示 第334号。以下「技術的基準」という。)第4の10に準じた措置を計ずるととも に、委託先手業者等に対し、「住民基本台帳カードに関する技術的基準」(仮 称)と同様のセキ ュリティ対策を実施させること。  2. 3.の場合を除き、直接、コミュニケーションサーバと委託先手業者等に 放置する住民基本台帳カード発行に係る端末機とを電気通信回線で接続しない こと。この場合において、住民基本台帳カード発行に必要なデータを委託事業 者等に送付するときは、市区町村長が住民基本台帳カード交付申請書に基づい てコミュニケーション サーバにおいて住民基本台帳力一ド発行に必要なデータの作成及び暗号化を行 い磁気ディスクに出力したうえで、当該磁気ディスクを委託事業者等に送付し 、又は独立して設置した専用のデータ転送用機器から電気通信回線を介して当 該データを転送することにより行う(当該データを暗号化し磁気ディスクに出 力し、及び従号化 するソフトウェアは指定情報処理機関において別途開発する予定)こととし、 あわせて次のようなセキュリティ対策を講じること。  ア 委託先事業者等に設置する住民基本台帳カード発行に係る端末機は住民 基本台帳カード発行専用とさせ、データ転送用機器及びカードプリンタ以外と は接続させないこと。  イ データ転送用機器を設置し、住民基本台帳カード発行に係る端末機と電 気通信回線で接続する場合、不正アクセスを防止するために、住民基本台帳カ ード発行に必要な通信のみを許可するよう通信制御を行うこと。  3. 委託先手業者等が地方公共団体(一部事務組合、指定情報処理機関であ る者等を含む。)である牧舎は、直接、コミュニケーションサーバと委託先事 業者等に設置する住民基本台帳カード発行に係る端末機とを電気通信回線で接 続することができること。この場合において、委託先手業者等に設置する住民 基本台帳カード発行に 係る端末機は、委託先事業者等が指定情報処理機関である者である場合を除き 、年民基本台帳カード発行専用とさせ、コミュニケーションサーバ及びカード プリンタ以外とは接続させないこと。  4. コミュニケーションサーバ又はデータ転送用機器と住民基本台帳カード 発行に係る端末機とを接続する塘合の電気通信回線は専用回線を用い、又はそ れに準じた通信データの盗取の防止についての必要な対策を講ずること。委託 先事業者等が指定情報処理機関である者である場合には、当該電気通信回線と して、住民基本台帳ネ ットワークシステムを利用することができること。  5. 委託先事業者等においてカードプリンタを他のカード発行にも利用する 場合、切換えの機能を整備させ、住民基本台帳カードを発行する端末機とその 他のカードを発行する端末機について、両者の端末機を同時に力一ドプリンタ に接続させないこと。また、カード発行に係る一連の作業について、住民基本 台帳カードとそれ以外 のカードの業務を並行して行わせないこと。  6. 住民基本台帳カード発行に係る端末機及びカードプリンタを投正する室 は技術的基準にいう重要機能室とみなして、委託先事業者等に対し技術的基準 第3の1、第3の2及び第4の1と同様のセキュリティ対策を実施させること。  7. 委託先事業者等において、住民基本台帳カード発行に係る端末機の管理 者を任命させ、操作権限が与えられた者を名簿等により明確にさせること。ま た、委託先事業者等において、当該端末機の取扱いに際しては、操作者が正当 なアクセス権限を有していることを操作者識別カード、パスワード等により確 認させること。  8. 委託先事業者等において住民基本台帳カード発行に係る端末機を操作し た履歴を記録させ住民基本台帳カード発行委託簿等との突き合わせを行う、住 民基本台帳カード(発行前のカードを含む。)及びカードに記録するデータの 管理状況について確認を行わせる等、委託先事業者等に対し適切な監督を行う こと。  9. 委託先事業者等に対し、磁気ディスクは使用後速やかに返却させる、転 送したデータは使用後速やかに消去させる等、当該データの利用を住民基本台 帳カード発行に限定するための措置を講ずること。  10. 住民基本台帳カード(発行前のカードを含む。)及び磁気ディスクを委 託先事業者等との間で受渡しを行う堵合は、盗難防止のための措置を講じる等 、その取扱いについて十分注意すること。 (2)なお、上紀のセキュリティ基準は、今後、告示を行う予定としている「住 民基本台帳カードに関する技術的基準」(仮称)に盛り込む予定としているこ と。 4 住民基本台帳カードの多目的利用 (1)各市区町村においては、住民基本台帳法第30条の44第8項の規定により住 民基本台帳カードは条例に規定する目的に利用することができるとされている ことを踏まえ、その有効利用についての検討を積極的に行う必要があること。  なお、住民基本台帳カード利用条例の考え方については、別紙のとおりであ ること。 (2)市区町村において、(財)地方自治什報センターがその独自手業として開 発したICカード標準システムを導入する場合、当初3年分のシステム導入SI経費 及び機器リース料等について、所要の特別交付税措置を講じることとする予定 であるこ七。 (3)ICカード標準システムを導入する場合のほかに、市区町村において、ICカ ード標準システム以外のカード発行管理システム、アプリケーション等を導入 する堵合、既存のカード発行管理システムとコミュニケーションサーバの連携 を行う瑞合、カードエンボス加工機を導入する場合等についても、(2)と同様 の特別交付税措置を講じることとする予定であること。 (別紙) 住民基本台帳カード利用条例の考え方 1 住民基本台帳カード利用条例制定の必要性  住民基本台帳カードは、高度なセキュリティ機能を有する ICカードを用いる こととされており、カード内の住民基本台帳ネットワークシステムで利用する 領域から独立した空き領域を利用して、様々な住民サービスを提供することが できます。そのためには、住民基本台帳法第30条の44第8項の規定に基づき、住 民基本台帳カードの利用目的、利用手続等について、条例を定める必要があり ます。 (参考)住民基本台帳法第30条の44第8項 市町村長その他の市町村の執行機関は、住民基本台帳カードを、条例の定める ところにより、条例に規定する目的のために利用することができる。 条例の規定例 第○条 この条例は、住民基本台帳カード等の利用を通じて住民サービスの向上 を図るため、住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)第30条の44第8項の規定に 基づき、住民基本台帳カードの利用目的、利用手続等について必要な事項を定 めることを目的とする。 2 住民基本台帳カードの利用目的  住民基本台帳カードの利用目的については、条例で規定する必要があります 。  住民基本台帳カードの利用目的としては、市町村長その他の市町村の執行機 関が自ら提供するサービスのみならず、他の市町村、都道府県、その他の機関 が提供するサービスについても、住民の利便を増進するとともに、行政の合理 化に資すると認められるサービスであって、市町村長がこれらのサービスの提 供主体と協定等を締結し、これらのサービスの住民基本台帳カードヘの搭載に ついて管理を行うことができる場合にあっては、住民基本台帳カードの利用目 的として条例で規定することができます。  なお、協定等の締結先については、公共的団体に限定されません。 条例の規定例 第○条 住民基本台帳法第30条の44第8項の条例に規定する目的は、次に掲げる サービスを住民に提供する目的とする。  一 証明書自動交付枚を利用して、住民票の写し、印鑑登録証明書その他の 証明書の交付を受けるサービス  二 申請書を自動的に作成するサービス  三 検珍、健康珍断又は健康相談の申込み、結果の照会等を行うサービス  四 事故、急病等で救急医療を受ける場合、あらかじめ登録した本人情報を 医療機関等に提供するサービス:  五 災害時等において、避難者情報の登録、避難場所の検索等を行うサービ ス  六 公共施設の空き照会・予約等を行うサービス  七 図書館の利用、図書の貸出し等を行うサービス  八 健康保険、老人保健等の資格確認を行うサービス  九 介護保険の資格確認、給付管理等を行うサービス  十 高齢者等の緊急通報を行うサービス  十一 病院の診察券等として利用するサービス  十二 商店街での利用に応じポイント情報を保存し、これを活用するサービ ス  十三 公共交通機関の利用に係るサービス  十四 地域通貨、電子福祉チケット等に係るサービス  十五 公共料金等の決済に係るサービス  2 市町村長は、市町村長(及び教育委員会等)以外の者との協議により協定 を定め、前項第○号に掲げるサービスの提供を、当該協定を締結した者に行わ せることができる。 3 住民基本台帳カードの利用手続等  住民基本台帳カードの利用手続、個人情報保護措置等については、条例で規 定する必要があります。  なお、住民基本台帳カードの個人情報保護措置については、住民基本台帳法 、住民基本台帳法施行令(昭和42年政令第292号)、住民基本台帳法施行規則( 平成11年自治省令第35号)及び住民基本台帳カードに関する技術的基準(総務 省告示・検討中)において規定されているが、市町村が提供するサービスの性 格に応じて、条例で具体的に規定することも考えられます。 条例の規定例 第○条 住民基本台帳カードの交付を受けている住民は、住民基本台帳カード を利用して第○条各号に掲げるサービスの全部又は一部を受けようとする場合 には、規則で定めるところにより、市町村長(若しくは教育委員会等)又は第 ○条第2項の協定を締結した者に対し、当該住民基本台帳カードを提示して、当 該サービスの利用申請を行わなければならない。  2 市町村長(若しくは教育委員会等)又は第○条第2項の協定を締結した者 は、前項の申請があった場合には、規則で定めるところにより、その者の住民 基本台帳カードに申請に係るサービスを受けるために必要なアプリケーション 又は情報を記録しなければならない。  3 前2項に定めるもののほか、住民基本台帳カードを利用して申許に係るサ ービスを受ける場合における手続に関する事項は、規則で定める。 第○条 市町村長く若しくは教育委員会等)又は第○条第2項の協定を締結した 者は、第○条各号に掲げるサービスを提供するために、住民基本台帳カードに 記録された個人情報及びこれらのサービスを提供するシステムにおいて保有す る個人情報の漏えい、滅失及びき損の防止その他の当該個人情報の適切な管理 のために必要な措置を講じなければならない。