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2005.7.5 宮城県議会に100条委員会設置の申し入れ

最終更新時間:2005年07月07日 13時28分08秒

平成17年7月5日

宮城県議会議長渡辺 和喜 殿

100条委員会設置の申入書

仙台市民オンブズマン代表 坂野智憲

 第1 申入れの趣旨

宮城県警の犯罪捜査協力報償費の不正支出疑惑問題の解明のために、地方自治法第100条に定める特別委員会を設置し、犯罪捜査報償費に関する関係書類や受領者の裏付け調査、捜査員に対する証人喚問などを実施することを要請する。

 第2 申入れの理由

1 不十分な宮城県警の内部監査

宮城県警における犯罪捜査報償費の不正支出疑惑に関して、宮城県警は,犯罪捜査報償費の支出に関する内部監査の結果を平成17年4月21日に「平成16年度会計監査の結果について」と題する書面をもって,公表し,宮城県議会文教警察委員会において報告した。

しかし,宮城県警によるかかる監査結果は,たった3枚のみの書面であり,内容も監査の名に値しないものであった。

犯罪捜査報償費が真に支出されているかどうかを監査するに当たっては,

  • ? 報償費を受領した協力者に「受領したかどうか」確かめる
  • ? 協力者が実在するか(受領当時生きているか)どうかも調べる
  • ? 悉皆調査(すべての案件にあたる)をする
  • ? 領収書に記載された飲食店に飲食の事実を確認する

という調査を行えば,犯罪捜査報償費が不正支出かどうかはたちどころに判明するところである。また内部監査である以上,捜査上の秘密等の問題は生じないはずである。にもかかわらず,宮城県警の内部監査においてはこれらの調査は一切行わず,単に書面審査と捜査費執行職員に対する聞き取り調査,領収書に係る飲食店等の所在確認にとどめたものであった。

犯罪捜査のプロ集団である県警がこれらを一切していないことは驚くべき消極的な態度である。県警は,そのような調査をすれば不正が明らかになることが分かっているからこそ,どうしても調査できなかったと言わざるを得ない。

このような不十分な内部監査の結果に対しては,宮城県知事も疑惑を払拭するには至らず,監査方法が不明瞭として県警に報告を求めたが,結局は十分な説明はなかった。

 2 別件の行政不服審査法に基づく審査請求に対する公安委員会の裁決とそれに対する批判

(1) 仙台市民オンブズマンが行った,平成11年度の宮城県警察本部刑事部,交通部の報償費支出に関する行政文書に関する情報公開請求についての部分開示決定に対し,平成14年7月23日付けで,行政不服審査法第5条の規定により,非開示処分を不服として,実施機関の上級行政庁である宮城県公安委員会に対し審査請求を行っていた。

(2) かかる審査請求に関して,本県条例第14条1項に基づき,宮城県情報公開審査会に諮問がなされ,平成16年9月30日付けでなされた同審査会の「答申」がなされた

かかる「答申」において,宮城県情報公開審査会は,その審議過程において,本県情報公開条例27条の規定に基づいて,犯罪捜査報償費に関する文書を含めて「インカメラ審査」を行った上で,「a.情報提供謝礼等に係る犯罪捜査協力報償費の1件当たりの支出金額が課ごとに見るとほぼ定額であること,b.一般に犯罪捜査協力報償費を支払ってまで情報を得る必要がないと思われる捜査活動においても情報提供者等に犯罪捜査協力報償費が支払われていると認められること,c.情報提供者等からの領収書が一部の課を除いてほとんどないことなどの点から,本件行政文書に記録されている情報が真正のものであること,すなわち情報提供者が実在し,本件行政文書どおりに犯罪捜査協力報償費が支出されていることについて心証を形成するに至らなかった。」との指摘を行った上で,非開示処分の適否について判断を行い,犯罪捜査報償費の個別執行額や支出事由など多くの非開示部分について開示が相当であるとの判断をするに至った。

そして,上記「答申」は,その末尾において,以下のとおり指摘し,実施機関の上級行政庁である宮城県公安委員会に対し,その権限と責任に基づいて調査をした上で県民に対する説明責任を果たすべきことを促した。

「本件の諮問実施機関である公安委員会は,実施機関の上級行政庁であり,警察本部を管理する権限と責任に基づき,捜査上の秘密に属する事項についても十分に精査し得ることは,当然であろう。とりわけ,全国各地の警察本部において報償費の不適正支出の問題が噴出している昨今の状況に鑑みると,公安委員会は,本件の報償費についても調査及び審理を尽くした上で適切な裁決を行うべきである。

審査会は,公安委員会に対し,『本件行政文書に記録されている情報提供者等が実在し,本件行政文書に記録されているとおりに報償費が支出されていたこと』について,例えば,犯罪捜査協力報償費を支出した事実の有無をしかるべき方法により直接確認するなど,実施機関の上級行政庁として,その検証に最大限の努力を払い,その検討経過をつまびらかにした上で裁決を行うことによって,県民の知る権利に応えて,公金支出についての説明責任を果すことが望まれる。」

仙台市民オンブズマンは,かかる「答申」の内容を受けて宮城県公安委員会に対し公安委員会の管理権限に基づいて,平成11年度宮城県警刑事部,交通部,警備部の報償費支出に関する行政文書を対象として,そこに記録されている情報提供者等が実在し,当該行政文書に記録されているとおりに報償費が支出されていたことについて,犯罪捜査協力者に公安委員が直接面談する等の方法により報償費を支出した事実の有無を確認するよう,申し入れを行った。

(3) ところが,宮城県公安委員会は,平成17年4月27日,開示しないとした原処分の一部について非開示処分を取り消ししたものの,その余の非開示部分については棄却する裁決をし(以下,「本件裁決」という。),同日,原告に対し,その旨を通知した。

かかる裁決に至るまでの間,宮城県公安委員会は,上記答申の末尾に付された意見に対して,何らの調査も行わなかった。

本件裁決は,上記宮城県情報公開審査会の付帯意見に対して,「『宮城県警察の会計監査に関する訓令』に基づき実施された会計監査結果(監査対象には本件で請求されている平成11年度の犯罪捜査協力報償費も含まれている)の報告を受けたほか,処分庁職員に対し必要な説明を求めるなどの調査を行い,本件行政文書どおりに犯罪捜査協力報償費が支出されていたことの心証を得た」と付言し,本件裁決を行い,審査会の答申において犯罪捜査協力報償費に関して部分開示を相当とした結論を覆し,これを認めない判断を行ったものである。

諮問実施機関が情報公開審査会の答申に従わない裁決等を行うことは極めて希有である。

本件裁決の判断は,審査会が要望していた,公安委員会の権限と責務に基づいて本件行政文書に記録されている犯罪捜査報償費の支出の有無の検証する作業を行うことなく,いわば宮城県警の内部監査結果を無批判的に受け容れたものに他ならない。

このような本件裁決における公安委員会の態度は,これだけ全国において犯罪捜査報償費の架空支出疑惑が噴出している中において,警察本部長を通じて県警察を管理するとの公安委員会の権限と責務を放棄したと評価せざるを得ないし,かつ,県民に対する説明責任も果たしていない。

また,宮城県情報公開審査会が犯罪捜査報償費に支出について上級官庁としての公安委員会としての権限行使を期待し,行政文書が申請に記録されている情報が申請かどうかを十分検証する作業を求めていたにもかかわらずこれを実質上行うことなく,犯罪捜査報償費に関する情報に関して部分開示を相当とした審査会の結論と異なる裁決を行ったことは,公正かつ客観的な判断を確保するため情報公開審査会を設置し,その答申を尊重して裁決を行わなければならないとする本県情報公開条例の趣旨を反した違法があるとも言える。

(4) 宮城県公安委員会の上記裁決に対して,公安委員会から諮問を受けて答申を行った宮城県情報公開審査会は,平成17年6月3日付けで,公安委員会宛で,本県情報公開条例第22条第2項の規定に基づいて建議をした

情報公開審査会が諮問実施機関に対しこのような建議を行うこと自体も極めて異例である。

建議は,その前書きにおいて,本件裁決が,「平成16年9月30日付け情公審第38号で審査会が行った答申の内容とは本質的に異なっているものである」とし,審査会が公安委員会委員長に対し本件裁決に至までの手続きや判断理由等を説明するように求めたにもかかわらず,同委員長はこれを拒否したとの経緯を明らかにした上で,本件裁決は「行政文書の開示請求権を保障した条例の趣旨に即したものとは言い難く,また,条例の解釈運用を誤った判断があるのではないかとの結論に達した」,「ついては,審査会は公安委員会に対し,本件裁決の検討経過をより具体的かつ詳細に公表するなど,県民への説明責任を十分に果たすよう適切な対応を望むとともに,本件裁決が今後の条例の解釈運用に悪しき影響を及ぼすことがないよう求めるものである」とした。

そして,本件行政文書の検証について,「本件諮問事案の一部について審査会の審議には限界があり,審査会として十分な心証を形成できなかったことから,種々の疑問点を掲げ,付帯意見として,諮問実施機関である公安員会に対し調査及び建議を尽くした上で適切な裁決を行うことを求めた」ところ,「公安委員会は,先に実施された会計監査結果の報告を受けたほか,処分庁職員に対し必要な説明を求めるなどの調査を行い,本件行政文書どおりに犯罪捜査協力報償費が支出されていたことの心証を得たと裁決に付言するのみで,その検討経過や判断理由等について,つまびらかにしたとは到底認めることができない。」,「領収書が偽造されたものであるとの請求人の主張に対しても,公安委員会は,『請求人の全主張を精査しても』,当該領収書が偽造されたものであるとは認めることは出来ず,領収書が偽造されたものであると認めるに足りる事情は見いだせないとの消極的な判断を示しているだけで,自らの調査に基づく心証については一切言及していない。このことは審査会の附帯意見の趣旨を十分に理解したものとは言えない」と指摘し,本件裁決を強く批判した。

 3 県警の不十分な内部監査に対する宮城県知事の対応

上記1の県警の不十分な内部監査が公表された後,浅野史郎宮城県知事は以下のような対応をとった。

(1) 北海道警における裏金づくりを内部告発した原田宏二氏との面談

まず,知事は,平成17年4月30日,北海道警の元釧路方面本部長であり,北海道警の裏金づくりを内部告発した原田宏二氏を仙台に招き,会談した。

会談は非公開で約2時間行われた。

原田氏は,浅野知事に対し,

  • ?ごく一部を除いて,警察組織内には情報を得るために金を支払う文化はない。
  • ?一部存在しない捜査協力者への協力金も公的な文書に記載されることはない。
  • ?自身の経験では協力者の存在はゼロに近い。
  • ?宮城県警の内部監査について,守秘義務のある関係者が聞いて協力者に不利になることはない。そもそも協力者の存在が架空の可能性がある。

などと自らの体験に基づき述べたという。

浅野知事は,この会談を通じて具体的な実感が得られた,非常に重い証言だと語った。

(2) 県警に対する監査要領提出を要求

また,宮城県会計課は県警会計課に対し,平成17年5月13日までとの期限をきって文書で内部監査に関する釈明を求めた。ここでは,具体的な方法を記した実施要領を提出すること,調査対象となった捜査員の氏名,所属,捜査員に対する質問と回答の内容,対象となった捜査員の選び方などの報告を要求するとともに,捜査協力者に対する聞き取り調査をしなかった理由や聴き取りをせずに「適正に執行された」と判断した理由についての説明を求めている。

これに対し,県警は監査要項を宮城県に提出した。これによれば,内部監査は領収書などに記載された報償費の支払額や年月日,支払った人などについて捜査員に質問し,その回答の内容と記載内容が一致しているかどうか調査した結果,内容が一致したため適正に執行されたと判断したという。捜査協力者に聴き取りをしなかったことについては捜査活動に支障が生じる恐れがあるためと説明し,対象となった捜査員の氏名については回答を拒否した。捜査協力者に対する確認が当初から想定されていなかったものである。

このような県警の内部監査の方法に関する説明は,全く合理的ではなく,不審極まりない。不正支出をひた隠しにしようとしている県警の捜査員に質問して不正支出の事実を自白するはずもなく(嘘の上塗りをするだけである),不正支出の調査方法として客観性がなく不相当である。また県警の内部監査である以上,捜査協力者に聴き取り調査をしたからと言って協力者に不利になることはなく,捜査の秘密維持の問題も生じないにもかかわらず,不正支出を確認するために最も容易で客観性がある捜査協力者に対し聴き取りをしなかったということは,全く理解し難い。

このような県警の回答について,当然ながら,浅野知事は,「監査の名に値しない」と強く批判し,さらに何らかの対応策をとる決断を迫られることとなった。

(3) 県警に対し改めて支出文書の提出の要求

浅野知事は,平成17年5月16日,報償費の予算執行停止も視野に入れて,監査対象となった99年度の報償費に関する会計支出文書の開示と捜査員の聴取を求める文書を県警に送付した。

これに対し,県警は捜査活動に支障が及ぶとの理由で,知事が求めた報償費の会計支出文書の提出を拒否した。

 4 宮城県警の現職警察官からの内部告発の手紙

浅野知事は,5月30日の記者会見において,宮城県警の現職警察官から知事宛に届いた内部告発の手紙を公表した。知事に対しては,この他にも県警OBを名乗る人物から不正支出を告発する内容の手紙2通が届いているという。かかる内部告発の手紙は,報償費の不正支出に関して,以下のとおり告発している。

  • ?(県監査で)捜査員から直接話を聞いたようだが茶番だ。捜査員の氏名は警察署でやり,言いなりになる職員を指名し,監査前に周到に練習している。
  • ?警察官から協力者に金を渡すことはない。私も長く捜査員をしていたが,金を支払い情報をもらったことは一度もないし,同僚からも聞いたこともない。
  • ?内部監査は,書類上の不備だけの指導だ。外部向けのポーズだ。
  • ?長らく続いた悪の伝統である報償費は,直ちにゼロにしても治安の悪化につながることはない。逆の中堅以下の職員のもやもやが吹き飛び,組織の活性化に結びつく。県警の力を信頼していただきたい。大半の職員はまじめに治安の維持に努力している。

 

 5 高知県警捜査費に関する非開示処分取消訴訟判決

高知県警が捜査協力者に支払ったとする捜査費(本県の犯罪捜査報償費に相当)に関する文書を非開示とした処分の取消を求めた訴訟の高知地裁判決が平成17年5月27日にあった

かかる高知地裁判決は,捜査費に関して違法,不当な目的のために流用されているとの組織的不正経理疑惑があることを認定し,月分の捜査費総括表のうちの月額受入支払額や支払精算書等の中の個別支払額や捜査員の官職について,組織的不正経理疑惑を解明するという公益性は非開示により保護されるべき利益に優越するとしてこれらの情報を非開示としていた処分を取消した。

高知県警における不正経理疑惑が存在することを裁判所が認定し,警部補以下の職員の役職名や一定の文書に関する捜査費の個別執行額の開示を認めた点においてすぐれた判決である。

 6 犯罪捜査報償費返還住民訴訟の仙台地裁判決

宮城県警が平成12年度の犯罪捜査報償費を裏金に回していたとして仙台市民オンブズマンが宮城県警の当時の会計課長に約1950万円の返還を求めていた住民訴訟において,仙台地裁第1民事部の判決が平成17年6月21日に言い渡された

仙台地裁判決は,会計課長に財務会計上の違法性を認める証拠はないとして返還請求自体は棄却した。しかし,その判決理由中において,?宮城県警の各課及び各署のいずれも毎月の受入額及び年の受入額がほとんど使い切られていること,?近時,全国の各警察において報償費等に関する不正支出疑惑が噴出していること,?県情報公開審査会がインカメラ審査をした上で支出状況に疑問をしめる答申をしたこと,?宮城県警が監査等に当たり支出関係書類の一部を目隠ししたり,宮城県知事からの支出関係文書の要求に対し不当に拒否したことなどの点から,

「平成12年度の宮城県警本部の報償費の支払の相当部分が実体がなかったものと推認する余地がある」と指摘した。犯罪捜査報償費の不正支出を裁判所が認定した極めて画期的な判決である。

また,上記仙台地裁判決は,宮城県警が宮城県知事から求められた会計文書の提示を拒否するなどの対応に出ている点について,「情報提供者・協力者保護の必要性,情報提供者・協力者との信頼関係の維持,捜査上の秘密の保持を理由として挙げるが,…宮城県知事の実地調査権を拒む十分な理由となるものではない」,「宮城県出納局長は,必要があればいつでも書類を自らの保管に移すことが可能であると解する余地がある」とも判示している。

 7 報償費の予算執行停止

ここに至って,浅野宮城県知事は,犯罪捜査報償費の適正執行が確認できず,予算執行権者として執行を続けるのは困難であるとして,犯罪捜査報償費の予算執行を停止した。

知事から再三にわたって求めてきた報償費支出関係文書の提示拒否や不十分な県警の内部監査等の宮城県警の極めて不審かつ不当な対応を踏まえれば,予算執行権者である知事としては当然の措置であると言わざるを得ない。

浅野知事の予算執行停止の決断に対して,宮城県警はカンパを募って報償費の代わりとなる基金を設けるとの対応策をとるというが,県警の対応の迷走はどこまで続くのだろうか。 警察の犯罪捜査において捜査協力者に金を支払う文化はなく,協力者の存在自体ゼロに近い上,そもそも捜査協力者が仮に存在するとしても対価を期待して協力しているものではないであろう。捜査協力に報酬など不必要であるし,報酬を支払って得た捜査情報などは証拠価値としても乏しいというべきであり,捜査には協力者に対する報償費の支払いが不可欠であるかのような県警の主張は欺瞞である。予算執行停止に対し「捜査に支障が生じる」などとの県警の主張も何をか言わんやである。何ら実体がない報償費の支出が停止されたとして,何ら捜査の支障など生じるはずもない。

宮城県警は,ここまで追い詰められているにもかかわらず,さらに嘘の上塗りを行い,必要もないカンパを募るなどの愚策をとるなどの対応を即刻改めるべきである。宮城県警のこれまでの対応を見て良心を痛めている県警職員は多数存在するであろう。宮城県知事の予算執行措置を受入れ,不正支出の実体を内部監査で明らかにして膿を出し切って旧来からの悪しき慣習を排除することこそが,警察に対する信頼を回復する方策であることを理解すべきである。

 8 100条委員会設置の必要性

以上に述べてきた,?県警の不十分で形式だけの内部監査の結果,?知事からの県警に対する内部監査に関する求釈明や文書提出要求に対する不合理な県警の対応,?宮城県警の現職警察官から知事に対する報償費不正支出を内部告発する手紙の公表,?犯罪捜査報償費返還住民訴訟における仙台地裁判決の判決内容,?宮城県知事による報償費予算執行停止の断行によって,宮城県警における犯罪捜査報償費の不正支出は疑惑から確信へとさらに高まったと言えよう。

それにもかかわらず、宮城県警は、未だなお、宮城県に対して、犯罪捜査報償費支出関係書類の提出や捜査員への事情聴取を頑なに拒否し続けており、浅野知事と宮城県警の対立は混迷を深める一方である。

宮城県警は、犯罪捜査報償費の支出が裏金に費消されているということがあらぬ嫌疑であるとするならば、監査委員に対し堂々と会計書類を提出し裏付けの存否を確認してもらえばよいのであり、内部監査においても犯罪捜査報償費の受領者が実際に受領しているかどうかさえ確認すればたちどころにその疑惑は晴れるのである。

宮城県警がとっている会計書類の提出拒否等の対応は不審極まりなく、宮城県警がそのような対応をとらざるを得ないのは、犯罪捜査報償費が不正に支出されていることを強く推認させるのである。

警察内部における悪しき慣習をこの機会に断絶しなれば、後世にも残り続けるおそれが高い。

宮城県警における犯罪捜査報償費の不正支出疑惑は、宮城県民としては決して看過できない問題であり、仙台市民オンブズマンとしても、このままこの疑惑を闇に葬らせるようなことは決して許さない、宮城県民も到底納得していない。

そこで、宮城県議会の場で、宮城県警における犯罪捜査報償費疑惑の全容解明を図るため、地方自治法第100条に基づく調査権を行使するための特別委員会を設置し、100条委員会の場での疑惑の徹底解明を求める次第である。                                       以 上

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