最終更新時間:2005年06月21日 14時38分41秒
2005年6月21日、仙台地裁は捜査報償費について、原告(仙台市民オンブズマンのメンバーら)の請求を棄却するも、不正支出を認定する画期的判決を言い渡しました。原告は実質勝訴と評価する以下のコメントを発表しました。
平成17年6月21日
犯罪捜査報償費返還請求事件判決についてのコメント
- 報償費の不正支出を正面から認定した画期的判決であり,実質勝訴である。
- 所期の目的は達成したので,オンブズマンとしては控訴しない予定である。
- 宮城県知事は,報償費の執行を直ちに停止すべきである。
- 宮城県出納局長は報償費関連書類を自らの保管に移し,徹底した調査をすべきである。
- 監査委員も自発的に再度監査し,報償費の違法支出の実態を明らかにすべきである。
<判示の特徴>
1 監査請求の特定性を認めた
「個々の報償費支出の日時,支出金額,支出先等が個別的,具体的に摘示されていなくても,本件監査請求の特定性に欠けるところはない。」
2 報償費の不正支出を認定した
「総合すると,平成12年度の宮城県警本部の報償費の支払いの相当部分が実体がなかったものと推認する余地がある。」「鑑識課の平成12年度の報償費の支払いのすべて(総額123万円分)について,実体がなかった疑いが強いというべきである。」
3 不正支出認定根拠も詳細で説得力がある
報償費が使い切られていること,不自然に平均的な執行状況であること,鑑識課に協力者がいるはずはないこと,報償費が短期間で配分がされなくなっていること,警視庁における不正疑惑(大内証人),北海道警の不正(原田証人),宮城県情報公開審査会の答申,宮城県による定期監査と知事要求の監査に対する県警の違法な対応(一部目隠しとした),知事の要求を拒否する県警の対応,などを逐一判断し,上記認定に至っている。
4 宮城県による定期監査と知事要求の監査に対する県警の対応を違法と判断した
「宮城県警の上記の対応(書類を一部目隠しして提出したこと)は,法に則ったものとは言い難い。」
5 出納局長が書類を自らの保管に移す権限があることを認めた
「宮城県出納局長は,必要があればいつでも書類を自らの保管に移すことが可能であると解する余地がある。」「宮城県警側が挙げる情報提供者・協力者保護の必要性,・・・・を理由として宮城県知事側に書類の提出を拒むことを財務規則に予定していない」
6 個人責任は否定
「仮に,平成12年度の報償費の支払が実体がなく違法であるとしても,それは被告のした支出命令後の,・・・執行行為に帰因する違法というべきもの」
以上
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