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福岡住民監査反論書

最終更新時間:2004年04月30日 19時10分31秒

 「福岡県警の住民監査請求に対する陳述への反論書」

福岡県監査委員 殿2004年4月7日

3月12日付福岡県職員措置請求に係る福岡県警の陳述に対する反論書

福岡市  児嶋研二

3月12日付福岡県職員措置請求に係る福岡県警の4月2日の陳述に対し以下の通り反論を提出する。

福岡県警渡辺総務部長による陳述の概略は、以下の通りである。「財務規則に基づく捜査報償費、旅費の支出の方法について解説した後、今回の住民監査請求について、

  1. 元職員の一方的な新聞記事を読んで不正があったと思い込んでいる。新聞報道だけを根拠にしており、損害事実が十分に証明されていない。
  2. 元警部は、氏名が不明であり、証拠の裏帳簿のコピーが本物かどうか確認できず信用性にかける。
  3. 書類の現物は廃棄しておりつきあわせができない。
  4. 捜査報償費と旅費の支払い手続きは財務規則通りに行っている。
  5. 捜査費等が本来の目的に使用されていないことの証拠がない。という5つの理由により、住民監査請求の根拠がない」

これらの陳述内容に反論する。

1、について

損害があったと疑われる十分な証言は、元警部の発言以降多くの福岡県警の現職警察官、OBによって行われている。また、これらの証言を裏付けるものとして、「月刊現代」5月号(講談社発行)には、警察庁が作成した全国の都道府県警での裏金作りについてのマニュアルが詳しく報道されている。これらの証言に基づき監査委員は損害額を確定して、損害分を返却するよう勧告を求めているのが今回の住民監査請求である。「損害が十分に証明できる」のであれば住民監査請求をしないで検察庁に告発している。すなわち、このような発言は福岡県警本部長が「今回の住民監査請求がなぜ行われたのか」「住民監査請求が地方自治法により住民の権利としてなぜ制定されているのか」を全く理解していないことを示している。住民の権利としての監査請求を否定するような発言を行うことは、法律を遵守すべき警察の責任者として失格である。また、今回の報道で怒っている県民に対して「記事を読んで不正があったと思い込んでいる」と福岡県警が評価していることである。

2、について

3月26日付西日本新聞では「銃器対策課の元警部は「25日県警の事情聴取要請を正式に断った」「会計課を中心とした調査では公正な調査が実施され、真実の解明とその公表がなされるかきわめて疑問」と拒否の理由を説明。これに対して県警は「今後も協力要請は続ける」としている」と報道されている。すなわち県警は元警部が誰であるか特定が出来ないはずがなく、協力要請を行うために連絡を取ることが出来ることを示している。元警部の「氏名が不明」と陳述するのは県民の実態解明を求める期待を裏切るものであり許されない。また、県警本部は、共産党県会議員団より元警部の所有する裏金帳簿のコピーをすでに入手したと新聞報道されている。コピーを入手しているのであれば、本物かどうかはすぐに確認できるはずである。現物を手にしていながら「証拠の信用性に欠ける」と陳述することは「裏金帳簿コピーが信用できない」と断定したことになる。福岡県警は「裏金帳簿コピーが信用できない」理由を県民にきちんと説明すべきである。

3、について

コピーを入手していながら「書類の現物は廃棄して、つきあわせができない」のであれば県警の内部調査チームはいったい何を調査するのであろうか。このような発言が行われることは県警の内部調査がおざなりにしか行われていないことを自ら証明したことになり、内部調査では不正経理の疑惑解明ができないことは明らかである。

4、について

多くの現職の警察職員や元職員の証言にあるように「財務規定どおりに書類を処理して裏金をつくりばれないようにすることが庶務係長の主な仕事であり」そのためのマニュアルも存在している。「規定どおりである」ことが「正しく使用されている」ことの証明にはならないことは明らかである。このような理由をあげることは、県民の警察に対する不信感を増すだけである。「財務規定どおり」に全国の全ての警察署で裏金をつくっていたからこそ大問題になっているのである。「財務規定どおりに行われているから不正はない」と平気で陳述できることは福岡県警幹部が、今回の不正に対し世論から強く批判され警察の信頼が失墜していることの重要性がまったく理解できないことを明らかにしている。

5、について

1、への反論と同様に、県警自らの公金不正疑惑について「使用されていないことの証拠を出せ」と何の調査権限も方法もない住民に求めるのは、地方自治法に基づき「住民監査請求がなぜ法的に保障されているのか」という住民の権利を全く理解していないものである。

今回の陳述で渡辺総務部長(元生活安全部長)が発言すべき内容は、以下の新聞報道にあるような「生活安全部長、会計課の捜査費ネコババ疑惑」にきちんと県民が納得できるように答えることである。

  1. 福岡県警銃器対策課の元警部による証言によれば「課長や次席が指示しているのか。 あうんの呼吸。全部決裁を取っている。生活安全部長まで決裁を取る。」(毎日新聞3月6日付け)
  2. 3月8日付西日本新聞では、当時の銃器対策課捜査員が「自分が請求した書類でない」「精算書に知らない名前がある」と本人による報償費の請求を否定する報道が行われている。
  3. 3月16日付西日本新聞、毎日新聞、読売新聞、朝日新聞の各紙で、銃器対策課の元警部の証言として「県警全体で裏金をつくっていた」「会計課が徴収していた」「生活安全部長に上納していた」「協力者に現金を支払ったことはほとんどなかった」と報道されている。

銃器対策課の元警部は県警の事情聴取要請に対して「内部調査チームは会計課長ら身内の人間。(裏金づくりについて)事情を良くわかっているはずだ」と答えている。今回の県警の陳述が明らかにしたことは、県警の内部調査チームでは、公金不正使用疑惑を解明することは全く期待できないことである。また、全国で警察の裏金疑惑にたいして現在の警察の内部から改革は全く期待できないことを示している。県民の信頼を回復するためには、時機を失することなく直ちに旧弊を改める努力をしなければならない。今回の不正支出に対して十分な警察への監査をするよう強く求める。

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