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福岡住民監査陳述書

最終更新時間:2004年04月30日 19時07分52秒

 「県警裏金住民監査請求についての意見陳述」

福岡県監査委員 殿

2004年4月2日

3月12日付福岡県職員措置請求に係る陳述書

福岡市  児嶋研二

今回の福岡県警銃器対策課の元警部による捜査報償費、旅費の領収書などの書類偽造などの警察の公金不正支出を裏付ける多くの内部告発が行なわれてきた。

  1. 福岡県警の警備部長を歴任した元警視監の松橋忠光氏は84年に著書「わが罪はつねにわが前にあり」の中で組織的な裏金作り(二重帳簿の作成、カラ出張、報償費の流用など現在と全く同じ方法が記されている)の実態を明らかにした。この著作と同様の内容は、当時福岡県警警備部で事務書類を作成した広川幸光氏によって公表され本年3月19日に告発を行っている。この松橋氏の著作での裏金づくりの内部告発以降、多くの本や報道によって警察の不正経理、二重帳簿の実態が明らかにされてきた。福岡県警元警部杉浦生氏は2000年6月発行の講談社「警察署の内幕」の中で「カラ出張と捜査費の流用、手当てのピンハネ」が明らかにされている。
  2. 96年に元長崎県警警部補の大宅武彦氏が、「カラ出張をして会計係が書類を偽造、同じようなことはどこにでもあり、今後、他県警でもたくさん出てくるだろう」と指摘した。
  3. 96年に愛知県警の十数年分の裏帳簿のコピーや県警の会計課長が配布したウラ金づくりのマニュアルが明らかになり、幹部のゴルフ代から餞別、ヤミ給与まで賄っていたことが愛知県議会で取り上げられた。
  4. 18年にわたり警視庁の会計部門を担当した大内顕氏は「捜査報償費関係の文書はすべて警察職員によって偽造され、捜査協力者をでっちあげて謝礼を支払ったかのように装う。大半は裏金でプールされ警察幹部の冠婚葬祭費や飲食代などに使ってきた。全国の警察署で同じような方法で行われている」と証言する本を講談社より出版した。
  5. 96年に警視庁銃器対策課で捜査費による裏金作りで、福岡県警と同様の方法で勝手に名前を使われた男性が慰謝料を求めて提訴し、今年1月最高裁で警視庁の敗訴が確定した。
  6. 98年に熊本県警大矢野署長や熊本県警本部の情報管理課長を歴任した元幹部が裏帳簿を保管し「組織ぐるみで裏金を作り、交際費などに充てていた」と証言した。
  7. 02年4月3日付けの大分合同新聞は「県警、捜査費流用、長年、架空の帳簿処理」と複数の県警関係者の証言を掲載した。
  8. 03年7月23日高知新聞で「高知県警捜査一課が捜査費を虚偽請求」との報道が行われた。この報道の後、県警捜査一課の実名入り内部資料が市民オンブズマンに送られてきた。
  9. 04年3月7日までの熊本日々新聞の報道では、96年から01年までに熊本県警で副署長、署長、本部課長などを務めた複数の元警視が「裏金は『特会計』と呼ばれ交際費や飲食代、ゴルフ代、餞別などに使われた」と証言した。
  10. 昨年11月北海道警旭川中央署の95年と97年の捜査報償費関係書類のコピーが流出し捜査費流用の疑惑が浮上した。
  11. 今年2月元北海道警釧路方面本部長の原田宏二氏が実名で裏金としてプールし接待に使ったことを証言した。同氏は山梨県警、熊本県警でも同様の交際費を受け取っていたことも証言した。
  12. 斎藤邦雄元北海道警弟子屈署次長は裏帳簿を証拠として提出し、裏金の返還を求める住民監査請求を行った。
  13. 2月14日付けの消印で、匿名の警察職員による手紙が市民オンブズマン福岡宛てに郵送された。その内容は「捜査費、旅費の偽造、幹部のカラ残業などの裏金作りが今でも行われている」というものです。
  14. 北海道警本部長は、3月12日に捜査報償費の書類偽造、流用を認めた。
  15. 今年3月5日静岡県警は95年度分の総務課の旅費、食糧費の組織的な不正支出を認め総額510万円を県に返還した。
  16. 3月5日、福岡県警銃器対策課庶務係長の元警部は「95年から99年まで総額6600万円のほとんどが本来の捜査に使われず本部会計課の担当者が2ヶ月ごとに会計書類をチェックし、会計検査院や県の定期監査でばれないようにしてくれた」と今回の住民監査請求のきっかけとなった会見が行なわれてから次のような証言が相次いでいる。
  • 3月8日付西日本新聞では、当時の銃器対策課捜査員が「自分が請求した書類でない」「精算書に知らない名前がある」と本人による報償費の請求を否定する報道が行われている。
  • 3月10日付読売新聞では、「銃器対策課だけでなく本部や各警察署でも架空の捜査協力者や謝礼目的で捻出した捜査費をプールして幹部が管理するシステムが存在していた」と複数の現職幹部や捜査員の証言で明らかになったと報道した。
  • 3月10日午前10時に市民オンブズマン福岡に、匿名の電話で「銃器対策課が報道されているが捜査一課と四課のほうが捜査費のウラ金づくりは額が大きい。マスコミも参加する花見の資金も捜査費から出ており、花見の場所取りに機動隊員が使われている。」との証言があった。
  • 3月11日14時に、市民オンブズマン福岡に、福岡県警の現職庶務係長の親族の女性から「いくつかの課で庶務係長だったが『どの課でも全てウラ金づくりを行なってきた。庶務係長の仕事はほとんどウラ金づくり。今回の内部告発以降、警察内部で緘口令が出た。渡辺総務部長は自らウラ金をもらっているので内部調査など出来るはずがない。上のものは大きな家を2軒持っている者もいる。警察の下のものは怒っている』と言っている。オンブズマンに頑張って欲しい。」と涙ながらの電話があった。また、同日16時10分ごろ四十年間警察に勤務して三年前退職したという元警察官より「裏金づくりに関わっていた。上司からの命令で断ることは出来なかった。こんなことはすぐに止めるべきだ。」との電話があった。
  • 3月12日付西日本新聞では、「どの捜査部門でも昔からやっていた」「裏金はあった」と現職、OBの証言を報道している。
  • 3月15日、市民オンブズマン福岡宛に現職警察官からの匿名の「捜査協力費として自腹を切ることもある」との手紙が届いた。
  • 3月16日付西日本新聞、毎日新聞、読売新聞、朝日新聞の各紙で、銃器対策課の元警部の証言として「県警全体で裏金をつくっていた」「会計課が徴収していた」「生活安全部長に上納していた」「協力者に現金を支払ったことはほとんどなかった」と報道された。
  • 3月17日付朝日新聞では、複数の現職警察官、元職員などの証言として「捜査書類の偽造やカラ出張も当たり前だった」と報道された。
  • 3月18日付毎日新聞の報道では現職刑事の証言として、「月40万裏金をつくり、一部は懐にいれ、所長が異動する際一括で渡すのが慣例していた」
  • 3月20日付読売新聞では、複数の現職幹部や捜査員の証言として「幹部が毎月裏金目標額を定めていた」と報道された。
  • 3月23日付西日本新聞では、複数の現職警察官は「情報公開法が施行されたのを契機に、裏金作りを止めた結果、報償費の執行が激減した」と証言したと報道された。

以上のように福岡県警全体において行われていることが、いくつもの証言により明らかにされている。20年も前に二重帳簿の事実が明らかにされながら、警察の不正会計が是正されずに来たことは、現場の警察官の不満となっている。現職警察官から「交通取り締まりの際、『身内の不正を先に取り締まるべきだ』と言われた」「この際、警察内部の膿みを徹底して出すべきだ」との声も寄せられている。市民オンブズマンは公金の不正支出に対してさまざまな取り組みを行なってきた。地方財政が逼迫を極めている現在、県警のみが過去の不正支出疑惑を放置しつづけることは許されるはずもない。県民の信頼を回復するためには、時機を失することなく直ちに旧弊を改める努力をしなければならない。今回の不正支出に対して十分な警察への監査をするよう強く求めます。

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