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滋賀県公安委員会 捜査費棄却裁決

最終更新時間:2005年07月22日 17時24分55秒

裁決書謄本送付書

滋公委発第75号

平成17年(2005年)7月8日  様

 滋賀県公安委員会

 平成16年4月20日付けをもって審査請求人   により提起された、公文書一部公開決定についての審査請求について裁決をしたので、行政不服審査法42条第2項の規定により、別添のとおり裁決書の謄本を送付します。

 処分の取消しの訴えは、裁決の送達を受けた日の翌日から起算して6月以内に滋賀県を被告として(滋賀県公安委員会が被告の代表者となります。)提起することができます。

裁決書

滋公委発第D8号 (不服申立人) 住所  氏名 

 不服申立人 が平成16年4月20日に申し立てた公文書一部公開決定に係る審査請求について、次のとおり裁決する。記

 1 主文

本件審査請求を棄却する。

 2 不服申立ての趣旨

本件処分は誤っており、取り消しを求める。

 3 裁決の理由

別紙のとおり

平成17年7月7日 滋賀県公安委員会


別紙

1 本件対象公文書

本件対象公文書は、今津警察署の捜査費に係る次の文書である。

  • (1) 平成14年度金銭出納帳(国費)の表紙及び総収入金額、総支払金額が記載されているページ
  • (2) 平成14年度金銭出納帳(県費)の表紙及び総収入金額、総支払金額が記載されているページ

2 公開をしない部分について

これら対象公文書に記載されている情報のうち、滋賀県警察本部長(以下「処分庁」という。)が公開しなかった部分は、次のとおりである。

 (1) 平成14年度金銭出納帳(国費)の総収入金額、総支払金額が記載されているページ

年月日欄、摘要欄、収入金額欄、支払金額欄、差引残高欄。ただし、摘要欄行頭の繰越表示、取扱最終時の差引残高、平成15年4月3日取扱責任者への返納金額、返納時の差引残高、4月分計の収入金額、累計の収入金額、支払金額、差引残高、取扱者・取扱補助者の印影を除く。

 (2) 平成14年度金銭出納帳(県費)の総収入金額、総支払金額が記載されているページ

  • ア 摘要欄中の警部補又は同相当職以下の職員の氏名
  • イ 年月日欄、摘要欄、収入金額欄、支払金額欄、差引残高欄。ただし、摘要欄行頭・行末の繰越表示、取扱最終時の差引残高、平成15年4月3日取扱責任者への返納金額、返納時の差引残高、繰越時の収入金額、支払金額、差引残高、4月分計の収入金額、累計の収入金額、支払金額、差引残高、4月分計・累計に係る取扱者・取扱補助者の印影を除く。(本件に係る金銭出納帳については、以下、「捜査費出納簿」ともいう。)

3 審査請求の趣旨及び理由

 (1) 審査請求の趣旨

本件処分は誤っており、取消しを求めるというもの

 (2) 審査請求の理由

審査請求の理由は、次のように要約される。

  • ア 本件非公開理由は、いずれも個別具体的な理由が記述されておらず、成立しない。
  • イ 公開請求したのは、平成14年度の収支総額が記載されているページであり、1年以上経過した16年4月現在、すべての事件が捜査継続中であるはずがなく、捜査に支障を来さない部分についての捜査費の収支は個別に公開できる。  また、今後の捜査に支障を来すおそれありというなら、その理由が個別具体的に記載されていなければならず、滋賀県情報公開条例(平成12年滋賀県条例第113号。以下「条例」という。)第6条第3号に該当しないし、条例の基本理念「原則公開」にも反する。
  • ウ 警察職員は公務員であり、警察職員の個人名を一律に個人情報に当たるとして非公開とするのは、条例の拡大解釈といわざるを得ず、一律に非公開とするのではなく、あえて非公開とする職種については個別具体的に非公開理由をあげるべきである。なぜ、「警部又は同相当職以上の職員」と以下の職員を分けて一方を公開し、一方を非公開にしているのか、「慣行によって」ではなしに具体的に立証しなければならない。
  • エ 捜査費の月別の交付額、執行額及び累計(年度累計を除く。)に係るものについて、まず交付額を公開するとどのような具体的支障を生じるのであろう。交付額は予定額であり、まだ実際に使われてはいない。しかも本件対象の公文書はおよそ2年前のものであり、推察しても捜査等に支障を来すほどのおそれが生じるとは考えられない。同様に執行額についても、そこに記載されている金額は交通費なのか食費なのか謝礼なのか判別不可能で、理解不可能な金額を公開したからといって、捜査上の支障は生じず、不必要に「おそれ」を拡大解釈して非公開処分としたものにすぎない。
  • オ 捜査費の執行件数に係るものについて、およそ2年前の文書であるから、仮に件数が公開され、その活発さを公にしたからといって、問題は生じない。非公開とするには具体的な事情を述べなければならず、説明責任はもとより県民の知る権利をもおざなりにしている。
  • カ 捜査費の個別の執行内容に係るものについて、捜査体制を知られるとしても、それぞれ個別の事件であるから、その都度、職員も体制も変わっていると考えられるので支障を生じない。 捜査手法については、これら会計文書中に仮に含まれているとしても、厳密に「手法」を悟らせてしまう情報はどれに当たるかを特定してのち、非公開にすべきは非公開とすればよい。 進展状況についても2年前のことであるので支障は生じない。犯罪企画者は常に対抗措置を講じているのが当たり前で、2年前の会計文書を見て捜査手法や体制を推測しなくても幾らでも知ることができる。 事件関係者の逃亡、証拠の隠滅等についても、前述の理由(2年前、会計文書であること)から実施機関の主張は不当というほかない。

4 滋賀県情報公開審査会答申の結論

滋賀県情報公開審査会(以下「審査会」という。)の答申の結論は、次のとおりである。

処分庁が審査請求人に対して行った処分のうち、次の部分については公開すべきである。

  • (1) 今津警察署の平成14年度金銭出納長(国費)の総収入金額、総支払金額が記載されているページ(7ページ)のうち
  • ?「前葉より繰越」の行の収入金額欄、支払金額欄及び差引残高欄
  • ?「4月分計」の行の支払金額欄
  • (2) 今津警察署の平成14年度金銭出納帳(県費)の総収入金額、総支払金額が記載されているページ(5ページ、6ページ)のうち

(5ページ)

    • ?「前葉より繰越」の行の収入金額欄、支払金額欄及び差引金額欄
    • ?「(各)月分計」の行及び次の「累計」の行の各欄(年月日欄、摘要欄、収入金額欄、支払金額欄及び差引残高欄。取扱者・取扱補助者の印影を含む。)

(6ページ)

    • ?「4月分計」の行の支払金額欄

5 審査会答申における判断理由

審査会の答申における判断理由を要約すると、次のとおりである。

 (1)基本的な考え方

条例の基本理念は前文、第1条及び第3条等に規定されているように、県の保有する情報は県民の共有財産であり、公開が原則であって、県は県政の諸活動を県民に説明する責務を負うものであり、県民の公文書の公開を請求する権利を明らかにすることにより、県民の県政への理解、参画を一層促進し、県民と県との協働による県政の進展に寄与しようとするものである。しかし、県の保有する情報の中には、公開することにより、個人や法人等の正当な権利、利益を侵害するものや、行政の適正な執行を妨げ、あるいは適正な意思形成に支障を生じさせ、ひいては県民全体の利益を損なうこととなるものもある。このため、条例では公開を原則としつつ、例外的に公開しないこととする事項を第6条において個別具体的に定めており、実施機関は、請求された情報が同条の規定に該当する場合を除いて、その情報を公開しなければならないものであり、同条に該当するか否かについては、条例の基本理念から厳正に判断されるべきものである。

 (2) 条例第6条第1号該当性について

捜査費出納簿(県費)の「適要」欄に記載された警察職員の氏名のうち、「警部補以下の警察官の氏名」の条例第6条第1号の該当性について検討した結果は、次のとおりである。

ア 条例第6条第1号本文の該当性について

正に特定の個人を識別できるものであり、条例第6条第1号本文に該当する情報である。

イ 条例第6条第1号ただし書の該当性について

本件対象文書における「警部補以下の警察官の氏名」の非公開の妥当性については、ただし書アにおける「慣行として公にされ、または公にすることが予定されている情報」に該当するかどうかによることとなるが、滋賀県警察職員の氏名について、人事異動の公表は「警部又は同相当職員以上の職員」の範囲について行われており、また、滋賀県職員録において掲載されている職員は警視あるいは警視相当職以上とされていることが認められていることから、「警部補以下の警察官の氏名」は「慣行として公にされ、又は公にされることが予定されている情報」とは言えず、ただし書アには該当しない。なお、審査請求人は、警察職員がネームプレートを着け、また、県民に問われて自らの名前を答えることを指摘しているが、これらは、応対の相手方に対して明らかにされているものであり、また、名札についてはすべての職員が着用しているものではなく、これらのことをもって直ちに職員の氏名が「慣行として公にされ」ており、ただし書ア二該当するとまでは認められない。

 (3)条例第6条第3号該当性について

ア 捜査費の個別の執行内容に係るものについて

この中には、捜査活動と密接に関連していて、公にすると犯罪の予防及び捜査に支障を及ぼすおそれがあると思われるものが記録されており、実施機関がそのおそれがあると判断することには合理性がある。なお、審査請求人の「本件対象の公文書はおよそ2年前のものであり、犯罪の予防や捜査に支障は及ぼさない」との主張については、その程度の期間であれば、いまだ捜査が継続中の事件の捜査費に係る内容が記録されている場合があることは十分想定され、条例第6条第3号該当性の判断に当たって実施機関の第一次判断権が尊重されるべき点を考慮すれば、個別の執行内容をそれぞれ検討するまでもなく、実施機関の判断は相当の理由があり、本号に該当する。

イ 頁行頭の「前葉より繰越」の行(捜査出納簿(県費)の6ぺージに係るものを除く。)における収入金額、支払金額及び差引残高の各欄について

この行は、金銭出納帳の記載方法上の必要から設けられているものであって、内容的には総額の年度途中の経過店における金額であり、年度総額を公開していることを考えれば「前葉より繰越」の行における収入金額、支払金額、及び差引残高の各金額そのものについて、公にすると犯罪の捜査に支障を及ぼすおそれがあると判断することに相当の理由があるものと思われず、条例第6条第3号に該当しない。

ウ 捜査費出納簿(県費)摘要欄の「○月分計」(「4月分計」を除く。以下同じ)及び「累計」と記載された連続する二つの行にある収入金額、支払金額及び差引残高の各欄に記録された額並びに行の左右に記録された取扱者及び取扱補助者の印影について

月別の交付額や執行額あるいはこれらを合算した累計は、確かに捜査活動の活発さが明らかになる場合があることが認められるが、非公開情報の該当性に当たっては、基本的に、対象文書に即して、具体的に判断されるべきものと考えられ、今回の対象公文書に即して、「犯罪の捜査や予防に支障を及ぼすおそれ」について検討した場合、月別の合計金額や執行件数が公開されることによる具体的な「おそれ」の発生について納得できるまでの説明は得られず、おそれがあるとの判断が、許容される合理性の限度内のものであると認めるには足らない。

なお、取扱者及び取扱補助者の印影については、「警察又は同相当職以上の職員」のものであり、また、最後の2行の「4月分計」及び「累計」におけるものについては、今回公開とされており、「○月分計」及び「累計」の2行が公開相当とされるならば、併せて公開されても問題ない。以上により、本件対象公文書に記録されている情報に即して検討すれば、捜査費出納簿(県費)の摘要欄に「(各)月分計」及び「累計」と記載された2行の各欄(取扱者及び取扱補助者の印影を含む。)は、条例第6条第3号に該当しない。

エ 捜査費出納簿(国費及び県費)の「4月分計」の行における支払金額の欄について

ウと同様の理由から、条例第6条第3号に該当しない。

オ 取扱者交代に伴う引継事項が記載されている箇所について

当該情報自体は、公にされても捜査に支障を及ぼすおそれを生じるものとは思われないが、公開された場合、前後の行数から一月よりさらに細かく限定された期間内における捜査費執行の有無が明らかとなり、個別の執行内容が推測され、これにより犯罪の捜査に支障を及ぼすおそれがないとまでは言えないものと認められるので、同号に該当する。

カ 本県において捜査費出納簿が公開された場合、全国の犯罪捜査活動に与える影響が大きく、国全体の治安維持に支障を及ぼすおそれがあるとの諮問実施機関の主張について

本件に関する判断は、あくまで本件対象分書についての判断にとどまるものであることを指摘すれば十分である。

 (4) 非公開理由の付記について

実施機関の非公開理由ついて、いずれも個別具体的な理由が付記されておらず成立しないとの審査請求人の主張については、公文書一部公開決定通知書を見ると、条例の該当条号と併せてその適用根拠が了知できる範囲で示されており、一部公開決定における理由の付記として不備であるとは認められない。

6  公安委員会の判断

 (1)処分庁が審査請求人に対して行った処分のうち、審査会が、答申において、条例第6条第1号又は第3号に該当するものと判断し、非公開が妥当とした部分について

当公安委員会においても、審査会が非公開が妥当とした「警部補以下の警察官の氏名」については、特定の個人を識別することができる情報であり、条例第6条第1号ただし書にも該当しないことから同号に該当する情報であると判断した。また、「捜査費の個別の執行内容に係るもの」については捜査活動と密接に関連し、「取扱者交代に伴う引継事項が記載されている箇所」については公開すると前後の行数から一月より更に細かく限定された期間内における捜査費執行の有無や執行件数が判明し、これらに当時の犯罪情勢、報道、事件関係者が知りうる特有の情報等を加えて照合分析することにより、捜査の進展状況が推察され逃走や証拠隠滅を図られるおそれがあることから、審査会が非公開が妥当としたこれらの情報については条例第6条第3号に規定する公にすると犯罪の予防及び捜査に支障を及ぼすおそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報であると判断し原処分が妥当だと判断した。

 (2)処分庁が審査請求人に対して行った処分のうち、答申において公開すべきとされた部分について

今回の公開請求において、処分庁が非公開とした部分については、平成16年6月29日付で提出した「理由説明書」により、その非公開理由が述べられているが、答申では、「あくまでも本件対象公文書についての判断にとどまる。」と当該公文書に限定した判断であることを強調し、いわゆるモザイクアプローチによる判断等他の情報との照合・分析や条例第6条第3号の規定の特殊性について十分考慮されていないと考える。よって、当公安委員会としては、改めて、非公開理由としている条例第6条第3号について検討した。

ア 捜査費出納簿(県費)摘要欄の「○月分」(「4月分計」を除く。以下同じ。)及び「累計」と記載された連続する二つの行にある収入金額、支払金額、差引残高の各欄に記録された額及び行の左右に記録された取扱者、取扱補助者の印影について

答申では、月別の交付額、執行額や累計はいずれも捜査活動に密接に関連し、月計等を明らかにすると行数から執行件数が判明し、捜査活動の活発さが明らかになる場合があることを認めている。しかし、「今回の対象公文書」に即し「犯罪の捜査や予防に支障を及ぼすおそれ」について検討したが、諮問実施機関から公開されることによる具体的な「おそれ」の発生については納得できるまでの説明は得られず、「おそれ」があるとの判断が許容される合理性の限度内のものであると認めるには足らないものとして、「今回の対象公文書」に限定した判断であることを強調しつつ、条例第6条第3号には該当しないと判断している。しかしながら、条例第6条に規定する非公開情報は、当該対象公文書に限って判断するものではなく、当該公文書全体や他の情報から総合的に判断すべきものである。本件対象公文書は、年度ごとに作成する捜査費等の受入れ・支出の情報が記載されている捜査費出納簿の一部分であり、本件の捜査費出納簿について、期間を細分化した請求が繰り返し行われると、当時の犯罪情勢、報道、事件関係者が知りうる特有の情報や今回の答申で「公開すべきとされた部分」とあいまって、捜査活動の時期、捜査活動の活発さが一層鮮明になることは明らかである。また、答申では、「捜査活動の活発さが明らかになる場合があること」を認めつつ、「諮問実施機関から公開されることによる具体的な「おそれ」の発生については納得できるまでの説明は得られなかった」ことから、条例第6条第3号の該当性を否定している。しかし、条例第6条第3号の規定は、対象とする情報の特殊性、つまり「犯罪等に関する将来予測としての専門的・技術的判断を要する」ことから、審査会としては、「おそれの有無」を検討するのではなく、実施機関の第一次的な判断を尊重し、その判断が合理性を持つ判断として許容される限度内のものであるか審理、判断するにとどまるとされている。この考え方に則して検討すれば「捜査活動の活発さが明らかになる場合があること」は、「犯罪の捜査や予防に支障を及ぼすおそれ」の前提となる事実であり、審査会においてもその存在を否定していないところである。また、当該前提事実を踏まえた実施機関の条例第6条第3号該当性についての認定に関し「納得できるまでの説明は得られなかった」と実施機関からの説明の不十分さを指摘しているものの実施機関の認定が明白に合理性を欠くとまでの評価には至っていないと認められる。したがってこの部分について実施機関の判断を尊重し、条例第6条第3号に該当すると解すべきであると判断する。なお、「今回の対象公文書」特有の事情ゆえにこの部分を公開すべきと判断するのならば、同号の該当性を否定するのではなく、同号の該当性を認めた上で、条例第8条の規定により公開すべきと判断するべきである。しかし、条例第8条に規定する「公益上特に必要がある」場合であるとは認められない。  よって、当公安委員会では、処分庁の条例第6条第3号に該当するとした判断は、妥当なものであると考える。

イ 頁行頭の「前葉より繰越」の行(捜査費出納簿(県費)の6ページに係るものを除く。)における収入金額、支払金額及び差引残高の各欄について

「前葉より繰越」の行の収入金額欄、支払金額欄、差引残高欄についても、アと同様の理由により、条例第6条第3号に該当するとの処分庁の判断は妥当なものであると考える。さらに、答申では「年度途中の経過点における金額」であることを理由に、「捜査に支障を及ぼすおそれがあると判断することに相当の理由があると認められない」としているが、他で非公開とすべき理由であげている「一月よりさらに細かく限定された期間内」に該当する場合があることも考慮すれば、条例第6条第3号に該当するとの判断が妥当なものと考えられる。

ウ 捜査費出納簿(国費及び県費)の「4月分計」の行における支払金額の欄について

アと同様の理由により、条例第6条第3号に該当するとの処分庁の判断は妥当なものであると考える。

上記のとおり、当公安委員会は、答申において公開すべきとされた部分について、処分庁が行った原処分が妥当と判断する。

 (3)非公開理由の付記について

実施機関の非公開理由について、いずれも個別具体的な理由が記述されておらず成立しないとの審査請求人の主張については、答申に記載されているとおりの理由で、一部公開決定における理由の付記として不備であるとは認められない。

7 以上のとおり、本件審査請求は、理由がないので、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第40条第2項の規定により、主文のとおり裁決する。

なお、当公安委員会では、捜査費及び捜査報償費に係る所属ごとの月分計及び月分計後の累計については、上記のとおり公開すると犯罪捜査に支障を及ぼすおそれがあると考えるが、年月の経過とともにそのおそれがなくなることもあり得ると推察する。したがって、他の都道府県警察の一部では、捜査費及び捜査報償費に係る所属ごとの月分計及び月分計後の累計に関して一定年数を経過したものに対する公開基準が定められていることから、処分庁においても、同様の公開基準を定め、かかるおそれがなくなると推定されるおおよぞの年数を明示することが可能かどうか検討するべき時期に来ているのではないかと考える。

上記は謄本である。

平成17年7月7日

滋賀県公安委員会 委員長 森 美和子

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