!!!告発状 住所・居所     不明 被告発人    中富泰三 2005年8月11日 告発人   全国市民オンブズマン連絡会議 代表幹事     大川隆司 同      永井敬三 同      江尻朱美 同      秋田仁志 (連絡先)〒460-0002 名古屋市中区丸の内3丁目6番41号 全国市民オンブズマン連絡会議事務局 電話052-953-8052 ファックス052-953-8050 事務局長 新海聡 ---- 東京地方検察庁 御中 !!!告発の趣旨 被告発人の以下の行為は刑法253条(業務上横領罪)に該当すると思料されるので、処罰されたく告発する。 記 被告発人は2003年7月ころ、経済産業省大臣官房企画室長に就任した際、経済産業省所管の財団法人産業研究所の行う調査・研究事業に対して日本自転車振興会が交付した補助金の残金2900万円を預金した預金通帳の管理を前室長から引き継ぎ、同額の預金を管理する業務を開始した者であるが、2004年4月ころ、これを自己の株式投資の資金に充てることを企て、自己の管理する預金から2400万円の払い戻しを受けて同目的でカネボウ等の株式を購入し、もって横領したものである。 !!!告発の理由 !!1,告発人について 告発人はこれまで、住民訴訟、公正取引委員会への告発、会計検査院への調査申し入れ、刑事告発などの手段によって官官接待、自治体の裏金つくりや談合などを問題とし、税金の無駄使いや使途の監視、提言を行ってきた市民オンブズマンの全国組織である。 !!2、裏金の存在 経済産業省では大臣官房企画室がプロジェクトの事務局となり、同省が所管する特殊法人等からの補助金をプロジェクトの調査委託費として同省が所管する財団法人等の調査委託先に交付する業務を行ってきた。 本件で問題となっている産業研究所のプロジェクトの事務局も大臣官房企画室がおこなっており、1976年に産業研究所が設立されたころから、委託先の大学教授等に対する補助金の交付業務を行っていた。 ところが、産業研究所が設立された1976年ころから大臣官房企画室では日本自転車振興会が支出した補助金の一部を本来の調査委託費に使うことなく、預金の形でプールし、当該預金の入金された複数の預金通帳は代々大臣官房企画室長が管理する、という形での裏金つくりが行われてきた。この裏金はその後の調査で政治家等の接待費等に用いられたことが明らかになっているが、使途が不明なまま預金全額が費消されたものも報道されている。 !!3,被告発人の所為と違法性 2003年7月、被告発者が室長に就任した際に前室長から引き継いだ裏金の預金総額は報道によると2900万円とされているが、2004年4月、内金2400万円を引き出し、同年3月に産業再生機構の支援が決まったばかりのカネボウ株などを自己の名と計算で購入し、200万円の利益を上げた。 ところで、もともと長期間にわたって経済産業省大臣官房企画室が保管していた本件の裏金は日本自転車振興会が公益事業振興の目的で産業研究所に交付した補助金である。補助金である以上、一旦交付したもののうち、補助事業に使わない残余金が出た場合には、本来的には日本自転車振興会に返還しなければならない筈である。したがって、産業研究所設立以降、主体となって裏金造りをした大臣官房企画室の担当者については、補助金の詐取の疑いがある。 本件はさらに、本来返還すべき補助金を被告発人が自己の名と計算において2004年4月に株取引に用いた、というものであり、しかも売買した株が被告発人の株取引の翌月である2004年5月に産業再生機構の支援による金融支援の道筋が明らかにされたカネボウの株式であることに鑑みれば、被告発人の所為は証券取引法166条のインサイダー取引の禁止規定に抵触する疑いも濃厚である。 !!4,告発の必要性 本件の裏金のもととなった日本自転車振興会に対しては地方自治体が交付金を支払っており、今回の補助金についても自治体の交付金が含まれている。競輪事業は現在赤字であるから、交付金は国民の税金を財源とするものであって、今回の問題は単に日本自転車振興会と国との問題に止まるものではない。被告発人の所為は行為態様においても、被害の深刻さや影響においても、きわめて悪質と言わざるを得ない。加えて、本件が発覚した後も経済産業省では新たにユニセフ事務に関係して会計課でも裏金が発覚しているなど、省内全体の遵法意識にも疑問がある。 ところが、経済産業省は被告発人に対する刑事告発をしない方針を固めた、という。まさか、被告発人以上に悪質な所為を行った者が省内にいることに鑑みた、という訳ではないだろうが、少なくとも被告発人の所為について何らの刑事責任が問われないとするならば、我が国の公務員制度に対する信頼や国の事業に対する信頼を著しく害することは明らかである。 よって、本件を報道した報道資料を資料として添付し、本告発をする次第である。 以上