[05/5/22]大分シンポに参加 2005年5月22日、大分市で、おおいた市民オンブズマン結成10周年記念・第11回定期総会が開かれ「県警の裏金疑惑を追及する」シンポジュームが行われました。 ---- 北海道警の不正経理問題を実名告発した原田浩二氏と共にパネリストで登壇したのは、警察組織内において仕事上の失敗または部下職員個人が起こした不祥事の責任を、個人に押し付けられて退職に追い込まれた長崎県警元警察官大宅武彦氏(63歳)と高知県警の元警察官の片岡壯起氏(46歳)。 大宅氏は、主に暴力団担当の「職人刑事」として実績を上げると共に51歳で、自力で難関、警部昇任試験に合格する努力家でしたが、昇任を目前に控えていながら、けん銃押収ノルマ達成のための一環として警察が組織的に行なった暴力団員に協力を求めてけん銃を押収した事実を、本人個人が「けん銃を所持していた」とでっち上げられてしまい、裁判でも執行猶予付きの有罪判決を下され懲戒免職処分にさせられた経験を披露した。 大宅氏は、暴力団員からけん銃を差し出させることも違法捜査だが、この捜査をめぐって年間数百万円の捜査情報提供謝礼名目の裏金が長崎県警で組織的に作られていたことも披露した。 一方、片岡氏は43歳の若さで警部の階級までエリート昇進していながら、根っからの真面目で素直な性格なため組織に徹底して従っていながら、かつての部下の贈収賄事件(キャバレー店長に飲食等の接待を受けた見返りに摘発情報を流した事案)に巻き込まれてしまい、同罪に仕立て上げられ、「懲戒免職処分」をちらつかせた脅迫マガイな誘導により辞職願を書かされ、退職に追い込まれた事例を紹介し、全国、多数の警察で発覚している不正経理問題にも触れて、警察幹部は私的流用を含む不正経理を認めてガラス張りの警察として出直して欲しいと訴えていた。 !!!<片岡さんの場合> 私は、高等学校卒業後、高知県警に入りました。それ以来、私の人生はすべて警察に捧げてきました。高知県警内ではよい評価を受けていたと自負しています。各級昇任試験を経て、採用後26年目、43歳で難関の幹部登竜門「警部」の階級に昇任しました。 これでやっと自分の思っていることを警察の仕事に反映させることができると張り切っていた矢先、警部に昇任し警察署の刑事生活安全課長に就任して僅か10ヶ月目に、いきなり、前所属で一緒に勤務していたかつての部下に係わる贈収賄事件で、県警を代表して責任を取らされる形で依願退職させられてしまいました。 この贈収賄事件とは、風俗営業許可を取り、就労ビザの外国人女性たちのショーがある一方で、売春もなく暴力団に支配されることのない、明朗会計システムの「外国人キャバレー」ということで、一般の人々も公務員も、高知県警の上級幹部も多数入り浸っていた風俗店に、不法就労外国人摘発の捜査が入るということになり、その情報を直前に経営者にもらした部下と同席して無料接待を受けたことがあると言う事件です。 私の部下がこの店に連れて行ったのは私だけではありませんでした。その店には私より上の幹部も常連客として入り浸り、中には店の外国人タレントと結婚している者さえいました。その人たちも当然、私と同じように接待されたはずです。私が1年以上前に飲食したことを問題にするのであれば、ほかの警察幹部たちも問題になるはずです。県警幹部が軒並み問題にならないとおかしいのです。 しかし、高知県警=警察庁は、如何にしてこの事件を小さく終わらせるかということに汲々とする一方で、部下ひとりだけではなく、ほかのだれかにも責任を取らせた形をとらないと対外的に面子を保てないと考えました。 丁度、具合良く浮上したのがかつて一緒に勤務し、この店にも行ったことのある私でした。幹部警察官「警部」に登用されていた私に責任を取らせることで終結させようと考えたのでしょう。 このような政治判断で県警は動いていましたから、それまで100%警察を信じて仕事をして来た私には、何がなんだかわからないまま事態は進んでゆきました。 事件の発端になった部下のほか、私はもう1人の部下だけが贈収賄事件の被疑者に仕立て上げられ立件され、これと並行して内部処分が検討され、私に「辞めなければ懲戒免職だ。免職がイヤなら辞職願を書いて諭旨免職を選べ。すぐに決断しろ」と脅迫マガイの誘導を受け、私は冷静に考える間もなく、辞職願を書かされ、退職に追い込まれてしまいました。 私は、警察職務を忠実に遂行してまいりましたが、警察の上級幹部が組織の面子と警視クラス以上の上級幹部の地位を守る為にこれほど汚い手段で警部クラスに責任を取らせるという事実を全く知りませんでした。 誘導に従って「辞職願」を書きましたが、どう考えても不合理であり県人事委員会から裁判提起を指導され裁判所に退職処分の取消を求めましたが、県警の申請どおり棄却されてしまいました。 私が1人で悩んでいたところ、丁度、昨年の暮に、ここに同席の北海道警の不正経理問題を告発した原田宏二さんが代表となって設立した「明るい警察を実現する全国ネットワーク」という相談窓口があることを知り、早速、北海道まで相談に行きました。  原田さんの助言で同ネットワークの弁護士さんの支援をいただき現在この問題は高等裁判所で継続審理中です。 警察ネットに加盟する警察官経験者の話を聞いてみると、全国的にも組織の不祥事を最高幹部が責任を取らないで「警部級」を処分し、いかにも「重い処分をした」と公表している事例が他にもあることを知りました。 私は自分の身分回復を裁判で勝ち取りたいと強く願うと共に、現場で働いている警察官が、国民のために安心して働ける風通しの良い警察組織を実現させるため、警察ネットの皆さんと協力して訴えて行きたいと思います。 そのために、全国警察は、今、国民から不信感が噴出している「裏金問題」を洗いざらい公表し、責任者は、しかるべき責任を取って国民に謝罪し、明るい警察を立て直す責任があると思います。その原動力は、ここにお集まりの皆様の監視力が不可欠であります。 皆様のご協力をお願いしたいと思います。 !!!<大宅さんの場合> 私は、高等学校を卒業後、昭和36年に長崎県警・警察官になりました。 私の警察人生は、一貫してヤクザ取締りを担当する部署で「職人刑事」を自負して、職務に専念しておりました。 そして拝命後34年目、52歳にして難関「警部試験」をクリアーして昇任を目の前にしていた時、突如でっち上げのけん銃所持事件で免職にさせられてしまいました。 近年、けん銃発射事件が多発していることは承知のとおりでありますが、警察においては警察庁から、けん銃の押収ノルマが課されるため、兎に角、けん銃の現物の押収を目的にヤクザ者等にけん銃の提供を要求するのです。 しかし、けん銃所持は重罪ですからそうは簡単にけん銃を提供する筈はありません。そこで考え出されたのがいわゆる「首なしけん銃」の押収と言う手法であります。これは、ヤクザ者等を説得し、犯人を捕まえない約束でけん銃だけの提供を受ける手法です。もっと簡単に言えば、けん銃を提供して貰う約束をヤクザ者に取り付け、「神社の柱の近くにけん銃が埋めてある」という情報があって、そこを探したらけん銃が出てきたので押収した。と言う具合です。 こんな簡単にけん銃がみつかるはずはありませんが、そこがヤクザと刑事の信頼関係でこの至難が実現できるのです。 担当する警察官も提供するヤクザにとっても大変危険なやり方です。しかし警察組織は平然とこのやり方で、けん銃を押収して実績を上げたことにしているのです。 私の場合も、この例と同様、ヤクザ者が犯した恐喝事件取調べを命じられ県警本部から所轄警察署に応援派遣されると言うベテラン刑事ならではの運用の中で事件は発覚してしまったのです。 逮捕されているヤクザ者からけん銃を提供して貰う約束を取り付け、このヤクザ者に仲間と連絡を取らせ、ある場所にけん銃を隠させる事を指示させ、このけん銃を犯人のいない「首なし」けん銃として押収し、いかにも実績を上げた形を作ったのです。 ところが警察とヤクザは、それほど仲が良い関係ではありませんから、警察のやり方に不満を持った者が、報道機関にこの不正な押収方法の情報を流してしまったのです。 慌てたのは、警察幹部です。不正手法をマスコミに叩かれるからです。この種の不適正捜査が発覚しそうになったため警察は組織だけを守る為に現場でヤクザと取引をしていた刑事個人を「不法なけん銃所持」等にでっち上げ、どんな言い訳も聞き入れず、多数人が充分に話し合った供述で口裏を合わせ、たった一人の警察官を犯人に仕立て上げてしまうのです。 丁度、担当したヤクザ者からけん銃を出してもらう話が成立し、私がそのけん銃を保管していた事が「警察官がけん銃を不法所持した」とされてしまったのです。 当事者の私1人がいくら事実を説明しても、「否認している」と、悪人に仕立て上げられ、裁判でもそのとおりの判決が下されてしまいました。 私が警察官拝命後32年目、階級も地道に積み上げて警部試験に合格し目前に迫った春には晴れて警部に昇任することになっていましたが、懲戒免職処分で身分を失ってしまいました。 ここで何故、私が槍玉に上がってしまったかということを振り返ってみると、私が派閥なる組織に入っていない一匹狼の職人刑事だったことだったと思い当たりました。警察組織内には派閥があり、いろいろな意味で派閥が個人を守ってくれる面があります。私はいつも一人ですから、事件に巻き込まれても誰も助けてくれないというわけです。 警察は組織を守る為に誰かに個人に責任をとらせなければなりませんでした。だから、私のような一匹狼の存在が丁度都合が良かったのでしょう。階級も警部補であり、外部である一般社会から見れば「幹部の警察官を処分した。警察はけじめをつけた」と見えるはずです。 警察組織にとって都合の良い逃げ方です。 この手法が今問題になっている「裏金疑惑」でも使われています。 けん銃捜査では、多額の国費・県費による費用が予算化されていますが、現場には全く下りて来ません。しかし、刑事達は偽支払報告書を沢山書かされます。 長崎県の場合も全国各地で明らかになっている手法と全く同様です。私も刑事生活が長いので沢山書きました。部下にも書かせました。このことは、私は実名でテレビ出演しているとおりです。 警察庁を頂点とする警察組織が組織的に行っている、国民の血税着服事件は国民の力で解明しなくてはならない重要な事だと考えます。警察が組織的に行っている不正行為があることを、私の体験を踏まえて発表しましたが、どうか皆様の力で警察組織を透明化させていただきたいと思います。 私も「明るい警察を実現する全国ネットワーク」のメンバーとして警察の不正監視を続けてゆく覚悟です。