05年3月24日、午前10時30分から札幌地裁で行われた国家賠償請求事件を傍聴しました。全国どこの警察でも同じようなことがあるのではないでしょうか。審理の概略を参考までにご報告します。 {この事件は、平成16年3月に、北海道警察・江別警察署の交番勤務のA巡査(26歳)が、公務に使用していた私物のパソコンから、K氏に関する捜査関連情報をインターネットに流出させた事案で、K氏が北海道に対して損害賠償を求めている事件です。原告代理人は、札幌の市川守弘弁護士です。本日は、A巡査の証人尋問が行われました} 1 A巡査は、本件の責任は自分にあり、K氏と北海道警察に多大なご迷惑をかけたとしています。 2 市川弁護士は、A巡査に対して「あなたの責任ではない」としたうえで、パソコンの管理、点検の状況などについて質問しました。 3 審理には、被告代理人のほか、道警本部警務部監察官が陣取り、傍聴席には道警本部の幹部らしい人物が居りました。 *傍聴した感想 1 本件の本質は、現場の警察官がパソコンを自費で購入し、幹部の許可を得て公務に使っていた。つまり、公務に使う道具が私費で賄われていることにあります。本来、現場に降りてくるべき捜査費等が降りてこないという裏金システムの構図と変わりません。幹部は、こうした事実を知りながら必要な予算措置などを講じないまま放置していたのではないか。ちなみに、A巡査は、事件後には交番に備品のパソコンが配分されたと述べました。 2 A巡査は、実務経験がわずか1年で本件を起こしている。ほとんど経験のない若者がちょっとした過失で組織から責任を追及されている。事実上、警察署幹部が必要な指導などを怠っていたのではないか。A巡査が必死で質問に答える姿を見て、哀れさを感じました。組織上層部の怠慢で起きた不祥事であっても、常に末端の現場警察官の責任として処理される、警察組織の常套手段とは言え、怒りを感じます。A巡査は、事件後このパソコンを公務用に警察署に保管し、別に自宅で使うパソコンを新たに購入したと述べました。 これも、全くどうかしていると思いませんか。 3 A巡査の、証言はまさに警察組織にとっては都合のよいもなのでしょうが、法廷での発言も幹部の監視下では、本心を語ることなどは思いもよらないことでしょう。改めて、物言えぬ組織、鉄のピラミッドの内部を知りました。